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福島第1原発の汚染水漏れ、結局どういうこと?

2013/9/3(火) 19:29配信

THE PAGE

 福島第一原子力発電所の汚染水漏れ問題は、非常に深刻な状況になっています。この問題には、同時平行的に発生している3つのトラブルが相互に関連しているのですが、これらが混同されて報道されているため、情報が錯綜しています。現在得られている情報をもとに、福島原発で起こっていることを整理してみましょう。

[図表] 原子力発電の割合はどれくらい?

3つのトラブルが重なる

 汚染水漏れの問題は、(1)汚染水タンクからの水漏れ、(2)地下貯水タンクからの水漏れ、(3)地下水の流入、の3つに大別することができます。

 (1)は汚染水を貯蔵する地上タンクから汚染水が漏れ出ている問題です。このタンクは、原発内で発生する様々な汚染水を貯蔵する目的で作られたものです。このうち複数のタンクから高レベルの放射能を持つ汚染水が約300トン外部に漏れていることが明らかになりました。その一部は海に流出したと見られています。

 (2)は原子炉内を冷却した水を保管する地下貯水槽から水漏れが発見された問題です。中に入っていた汚染水はやむを得ず、(1)の汚染水タンクに移送されていますが、これによって汚染水タンクが足りなくなるという問題も発生しています。

 状況をさらに深刻にしているのが(3)です。福島原発の地下には無数の地下水が川のように流れているのですが、これらの地下水が事故を起こした原子炉建屋にも流れ込んでいます。この状態を放置すると建屋が汚染された地下水で溢れかえってしまうので、毎日400トンの水をくみ上げて対処しています。しかし、この汚染水の行き先もやはり地上に設置した汚染水タンクになっており、ますます地上のタンクが足りなくなっているのです。

国費470億円を投入するが

 このような状況になっている最大の原因は、水漏れを起こしやすい脆弱なタンクを設置したり、施工に問題のある貯水槽を作った東京電力の一連の対応にあります。同社の杜撰な管理体制を批判することはたやすいでしょう。しかし、本当の問題は、原発の事故処理という重大案件を東電という一民間企業に丸投げし、責任を回避している政府の姿勢にあります。

 原子炉内の水をそのまま冷却して循環させる装置の導入、地下水を流入させないための遮断壁のすみやかな設置、ステンレス製溶接タンクの設置といった対策がなされていれば、一連のトラブルは避けられたかもしれません。しかし、そのためには莫大な予算や利害関係者との交渉を行う数多くの要員、場合によっては法的権限なども必要となります。目の前の作業に忙殺され、しかも民間企業として利益を確保しなければならない東電にとって、これは組織としての能力を超えたものであったと考えられます。

 大規模な原子力災害への対応では、全体の汚染レベルを最小限にするために、ある部分は犠牲にするといった、非情な決断を迫られるケースがあります。たとえ非難を浴びても合理的な決断を行うという強い意思と、相応の法的権限を持ったチームが取り組まなければ根本的な解決は難しいでしょう。

 政府は9月3日、原子炉周辺の土を凍らせて地下水を遮断する対策などに国費470億円を投入すると発表しました。しかし、これらの措置だけですべての問題を解決することは難しく、事故処理をめぐる混迷状態はしばらく続く可能性が高いと考えられます。

(大和田 崇/The Capital Tribune Japan編集長)

最終更新:2016/2/6(土) 4:42
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