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「カジノ法案」が成立したらどんな業界がもうかるの?

2013/9/3(火) 22:27配信

THE PAGE

 これまで何度も浮かんでは消えてきた「カジノ構想」。日本でのカジノ解禁へ向けた法案が年内に国会に提出され、成立する可能性があるようです。カジノが日本にできた場合、どんな業界にビジネスチャンスがあるのでしょうか。

 一口にカジノと言っても、関連する産業の裾野は広いので大きな波及効果が期待されます。日本で導入されるのは、シンガポールでオープンした、いわゆる「特定複合施設」型で、カジノを中心にレジャー施設、国際会議場、展示場、ホテルなどが一体的に整備されることになりそうです。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの太下義之氏は「1カ所で最大で数千億円単位の投資になることも想定される。経済効果は投資額の2倍から3倍になる」と見ています。

 金額として経済効果が大きいのは建設、観光、IT関連だといいます。波及効果は予想通りの業界から少し意外な業界まであるようです。雇用への影響もディーラーや警備員のようなカジノの直接雇用だけではなく、例えばコイン製造メーカーなど、カジノに関連するいろいろな産業に効果が見込まれるようです。

 具体的に業界ごとの展望を見ていきましょう。

■建設/不動産・ディベロッパー/設計・内装
 さまざまな集客施設と合わせて整備されることが想定されるため、建設需要は大きくなりそう。またこうした複合開発を総合的にプロデュースするディベロッパーの役割も大きくなるのでは。カジノは魅力的な空間を創出する必要があるので、施設の内装デザインや設計にも多額の費用がかけられるとみられる。米ラスベガスの商業施設の内装を手がけた業者が東京・お台場の「ヴィーナスフォート」の内装を担当した例もある。

■IT関連/ゲーム・アミューズメント
 カジノは「巨大なIT機器の集合体」ともいえる。スロットマシンなどのゲーム機器はもちろん、顧客や従業員の管理システムなどIT需要が相当発生する見込みで、IT関連企業にとっては「大きなインパクトになる(太下氏)」。日本ではパチンコやスロット機器メーカーが、カジノ機器などの供給者になることもあり得る。またルーレットやカードゲーム、スロットなどのコンテンツも重要になる。韓国や豪州など海外のカジノとの競合も想定されるため、日本発の新しい種類のカジノ・ゲームを創出できれば、魅力はより高まる。

■観光関連
 IR(Integrated Resort「カジノを含めた統合型リゾート」)として大量集客が可能な施設として整備されれば「相当な人が動くことになる(太下氏)」ので、カジノが立地する地域の観光産業との相乗効果がありそう。具体的には、旅行、運輸・鉄道、ホテル、飲食、代理店、コンサルティングなどの業界が活性化に期待が持てる。

■ライブ・エンターテインメント
 米ラスベガスの主要カジノは、サーカスやショーなどのエンターテインメント施設を併設しているが、日本でもこうしたライブ・エンターテインメント分野のビジネスが本格的に産業化される可能性があるのでは。

■金融
 カジノでは巨額のお金が動く。カジノ事業を通じて「マネー・ロンダリング」が行なわれる懸念もあるので、カジノ事業が金融業の一種として指定されることも考えられる。また、事業リスクに関する的確な表示や証券の円滑な流通性などが担保されれば、機関投資家から個人にいたるまで、様々な主体、業界が参加し、カジノを取り巻く大きな金融市場が形成されることも期待される。

■セキュリティ
 IT関連業界の場合と同じく、カジノ施設は「セキュリティの塊」とも言える。毎日、巨額の現金がやり取りされることになるので、最高水準のセキュリティが求められることになる。警備会社などの需要が高まりそう。


太下義之(おおした・よしゆき)
三菱UFJリサーチ&コンサルティング 芸術・文化政策センター長。
文化経済学会<日本>理事。文化政策学会理事。文化審議会文化政策部会委員、東京芸術文化評議会専門委員。大阪府・大阪市特別参与、沖縄文化活性化・創造発信支援事業評議員、鶴岡市食文化創造都市アドバイザー、公益社団法人企業メセナ協議会監事。文化情報の整備と活用100人委員会委員。著作権保護期間の延長問題を考えるフォーラム発起人など。

最終更新:2016/1/30(土) 4:08
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