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原子力政策が迷走する理由――原発再稼働と核燃料サイクルの切れない関係とは?

2013/9/5(木) 10:47配信

THE PAGE

 福島原発の事故後、原発からの撤退をめぐって紛糾してきた日本の原子力政策ですが、最近になってさらに混迷の度合いを深めています。現在、日本では運転停止に追い込まれた商業用原発の再稼働をめぐって激しい議論が行われている最中なのですが、原発に関する議論はなぜか複雑怪奇でスッキリしません。その理由は、日本の原子力政策が「核燃料サイクル」という非常にやっかいなものを背負い込んでしまっているからです。原発問題を複雑にしている「核燃料サイクル」とはどのようなものなのでしょうか?

[図表] 原子力発電の割合はどれくらい?

燃料から燃料を生み出すサイクル

 原発はウランを燃料にして発電しているのですが、使用済みの燃料を工場で化学的に処理するとその中からプルトニウムという物質を抽出することができます。プルトニウムはウランと同様、原子炉の燃料になるため、使用済み燃料の再処理を行えば燃えカスの中から再び燃料を取り出すことが可能となります。これを実現するための一連の仕組みが「核燃料サイクル」です。

 核燃料サイクルは、燃料からさらに燃料を生み出せる夢のようなシステムなのですが、これを確立するには超えなければならない技術的なカベがたくさんあります。放射能レベルの高い使用済み燃料を安全に処理する工場を建設したり、プルトニウムを有効活用するための新しい原子炉(高速増殖炉)が必要となります。

 しかし、高速増殖炉の原型炉である「もんじゅ」は、技術的難易度が高く、相次ぐトラブルで運転停止に追い込まれています。また、青森県六ヶ所村に建設中の核燃料再処理施設は操業開始が何度も延期になっています。使用済み燃料の再処理後に発生する高レベル廃棄物の最終処分場もまだ決まっていません。

 日本が本格的に原子力政策を導入した1960年代は、エネルギーのほとんどを石油に依存することへの危機感が強く、核燃料サイクル政策は日本の国是とされました。これまでに数兆円の国費が投入されており、原発から撤退してしまうと、これらの取り組みもすべてムダになってしまいます。原子力業界や政府が原発からの撤退を躊躇するのにはこのような背景もあります。

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最終更新:2015/11/16(月) 4:52
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