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東京五輪決定で消費増税の可能性高まる

2013/9/9(月) 11:03配信

THE PAGE

 アルゼンチンのブエノスアイレスで開かれたIOC(国際オリンピック委員会)総会において、2020年夏季オリンピックの東京開催が決定しました。オリンピック開催と消費増税は一見無関係な事柄のように見えますがそうではありません。今回の東京招致の成功で、消費増税が実施される可能性は高まったといえるでしょう。

 東京でオリンピックが開催されるとなると、大きな経済効果が見込めます。会場や道路の整備など関連インフラの整備が行われますし、世界から観光客がやってくるので観光収入も増加することになるでしょう。一方、こうしたインフラ整備には莫大な予算が必要になることから、日本の財政収支の悪化が予想されます。

 東京都が発表しているオリンピックの経済効果に関する試算では、直接的な需要増加はわずか約1兆2000億円となっています。しかしこれは、オリンピックにお金がかかりすぎるという批判が一部から出ていたことを考慮した、かなり控えめな数字といってよいでしょう。実際には、オリンピックに関連した公共インフラ整備が各地で実施されることになり、専門家の中には数十兆円の公共事業になると指摘する人もいます。これらの費用は最終的に国債で賄われることになるので、国の借金は増える可能性が高いのです。

政治的駆け引きでも増税に追い風

 そうなってくると、財政の悪化を食い止めるためにどうしても増税が必要になってきます。また政治的な駆け引きという点でもオリンピック招致成功は増税への追い風となります。10月には秋の臨時国会が開かれますが、安倍首相はこれまで実施してきたアベノミクスの成果を強調するとともに、オリンピック招致成功が日本の景気回復に大きく寄与するとして、強気の国会運営を行う可能性が高いといえます。

 安倍首相は、消費税率引き上げについて「招致決定と消費税は直接関係ない」と述べ、五輪とは切り離して判断する意向を強調していますが、それはあくまで表面的な発言と捉えるべきでしょう。

 国民もオリンピック招致は安倍政権の成果であるとして高く評価する可能性が高く、首相が「日本には強固な財政基盤が必要である」と主張して消費税の増税を決断した場合、これを真っ向から否定できる政治勢力は今とのところ存在していません。

 オリンピック開催は日本に大きな経済効果をもたらすことになりますが、一方で、ある程度の公共投資増加は避けて通れないと考えられます。日本政府は2015年度までに基礎的財政収支(プライマリーバランス)赤字額の対GDP比を半分に、さらに2020年度までには基礎的収支を黒字化するという国際公約を掲げています。現在でも2020年度における黒字化は困難といわれていますが、これにオリンピック関連の公共事業が加わると実現はさらに難しくなるでしょう。財政黒字達成の目標年とオリンピックの開催年が奇しくも同じ2020年というのは、何とも皮肉です。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2015/11/20(金) 4:22
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