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吉田沙保里の東京五輪出場の可能性は?

2013/9/9(月) 9:05配信

THE PAGE

東京五輪出場への意欲

 吉田沙保里は、伊調馨や米満達弘、合宿中のフリースタイル日本代表らとともに北区のナショナルトレーニングセンターでブエノスアイレスからのIOC総会生中継で五輪存続の行方を見守り、決定した瞬間は皆と歓声をあげて喜んだ。
 五輪存続のためのIOC総会投票で必要な票数は過半数の48。レスリングが獲得したのは49票だった。事前に噂されたほどの大差ではなかったものの、2020年と2024年の追加実施競技の座を手に入れ、レスリングは五輪存続が決定した。

 前日の2020年東京五輪決定のイベントにも参加していたため、吉田はあまり眠る時間がとれなかったというが、真夜中の0時半過ぎから始まった会見と囲み取材のときも終始うれしさを隠せない様子だった。
 そして、7年後はどうなっているかわからないと前置きをしながらも「日本国民の皆さんに“生”でレスリングを見てもらいたい」と2020年の東京五輪に出場して金メダルをとりたいと意欲をみせた。

吉田のずば抜けた経験力

吉田のこの願いには、どのくらい現実味があるのだろうか?
 東京五輪開催時、1982年10月生まれの吉田沙保里は37歳になっている。30代後半という年齢は、五輪出場には非現実的なものだろうか?
 ロンドン五輪の女子レスリングメダリスト16人のうち、30代は48kg級金の小原日登美ら6人。吉田が決勝で戦ったカナダのバービークは35歳だった。そう考えると、37歳という年齢だけみれば、非現実的とまではいえない。

 年齢が問題になる場合、疲労やケガなどからの回復が遅いことが主な理由だろう。吉田はこれまでケガが少ない選手だと言われてきた。彼女の試合スタイルは、相手と深く組み合うことが少なくケガをしづらい。今後もスタイル変更をする見込みはないので、大きなケガをする可能性も低い。こちらも、吉田にとって、東京五輪を目指すのに大きな障害とはなりそうにない。
 次は、代表選考の試合に勝てるかという問題がある。
 今年6月の全日本選抜では、19歳の村田夏南子にリードされ、試合終了間際に逆転というヒヤリとさせられる内容で優勝した。村田の健闘は新旧交代がすすみつつあると感じさせてはくれるが、最後の数秒の差は大きい。吉田は経験を積んだことで試合運びが巧みになっており、若手の勢いを削いでしまう。「負ける気がしない」と公言するとおり、若手との差は、まだ縮まっていない。

 世界に目を転じても、新旧交代はあり得ないのか。
 五輪の正式種目になった2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで、女子レスリングはあまり世代交代が進んでいないのが実情だ。たとえば、吉田がロンドンの決勝で戦ったカナダのバービークは、アテネで決勝を戦った相手でもあった。他にもアテネから3大会連続して出場している選手が目立つ。
 アテネ五輪から約10年間、ほぼ同じ顔ぶれで世界の女子レスリングは頂点を争ってきたが、ロンドン五輪を終えると、その多くが現役引退を表明した。9月16日からハンガリーのブダペストで開かれる世界選手権では、初めて大幅に選手が入れ替る予定だ。スピーディに攻撃することを奨励する5月からの新ルールも新世代には有利に働きそうだ。ただし、世界での新世代がどのくらい世界14連覇を目指す吉田沙保里を脅かすかは、まだ未知数だ。経験で培った巧みさを、若い新鮮さだけで上回るのは難しい。

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最終更新:2016/1/15(金) 4:23
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