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尖閣国有化1年、今後どうなる?/米中交渉がカギ

2013/9/11(水) 10:47配信

THE PAGE

 日本政府が尖閣諸島を国有化してからちょうど1年が経過しました。尖閣諸島問題をきっかけに一気に悪化した日中関係ですが、いまだに状況を打開する糸口が見えていません。日本と中国に話し合いの余地はあるのでしょうか?

 事実関係を整理すると、尖閣諸島は戦後一貫して日本が実効支配しており、現在もその状況に変わりはありません。これに対して中国は、尖閣諸島は中国の領土であると主張し、日本の実効支配について異議を唱え始めました。国際社会の現実的ルールでは、双方の主張はともあれ、実効支配している側の論理が一般に優先されます。

 したがって尖閣諸島についても、自国の領土として実効支配している日本に対して、中国側が異議を唱えているというのが、国際社会における一般的な理解となります。中国は尖閣諸島が自国の領土であるとの既成事実を積み上げるため、定期的に艦船を派遣し、領海侵入を繰り返しているわけです。

 しかし、中国が本当に尖閣諸島を自国の領土であると諸外国に認めさせるためには、日本から実効支配権を奪い取る必要があります。今のところ、米国は日本の領有権は認めていないものの、施政権は認めており、日米安保の対象であることを明言しています。したがって中国が尖閣諸島を実効支配しようと思った場合には、日本とはもちろんのこと、米国とも紛争状態になることを覚悟しなければなりません。現実的にそのような決断は不可能であり、日本の実効支配権は維持されたままになっています。

中国の軍事活動をどこまで許容するか

 日本と中国の関係を根本的に修復するには、中国が領有権の主張をやめるか、日本が実効支配をやめるかの二つに一つしかありません。交渉テクニックとしては、日本は実効支配を続けるものの、中国との領土問題が存在することを公に認めるという落としどころもありますが、日本側にとっては現状からの後退を意味しますので、受け入れるのは難しいでしょう。当分の間は、現在の膠着状態が続く可能性が高いと考えられます。

 もし日中関係が大きく動くとすると、それは米中交渉が進展した時です。米国と中国は、今年6月に開催された米中首脳会談を皮切りに、アジア太平洋地域の安全保障問題について包括的な交渉を開始しています。

 交渉が妥結すれば、米国が東シナ海領域における中国の軍事活動を一定の範囲で許容する可能性が出てきます。その時には、尖閣諸島問題に関する中国との問題解決方法について、米国側から何らかの要求があるかもしれません。あくまで米国の意向を尊重して中国との交渉に当たるのか、米国の意向とは関係なく中国と交渉するのか(交渉しないのか)、日本は難しい選択を迫られることになるでしょう。


(大和田 崇/The Capital Tribune Japan編集長)

最終更新:2015/12/6(日) 4:02
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