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ドコモもiPhone販売 なぜ今? スマホ勢力図は今後どうなる?

2013/9/11(水) 10:39配信

THE PAGE

 NTTドコモがiPhoneの販売に踏み切ることになりました。これまでiPhoneといえば、国内においてソフトバンクの代名詞的な存在でした。しかし、一昨年秋のiPhone4S発売の際にはauが参戦。さらに、今回、携帯加入者数最大のシェアを持つNTTドコモが販売することになり、スマートフォン市場を巡って、大きな勢力図の変化が起こる可能性が出てきました。NTTドコモはなぜ、これまでiPhoneを販売しなかったのか、また、今後の展望はどうなるか、について三菱UFJリサーチ&コンサルティングの細川達也氏に解説してもらいました。

ーーNTTドコモがこれまで販売に踏み切らなかった理由は?
 「2008年にソフトバンクが販売を始めたころから、アップルとの交渉はやっていましたが、当時はアップル側の要望に応えることはできませんでした。アップル主導で機種を作ることに対して、ドコモ側に危機感がありました。これまで(フィーチャーフォン時代)はキャリア主導で機種を作ってきたため、メーカー主導になると、“インフラ屋”になってしまうことを危惧していたようです」

ーー国内の携帯メーカーとの関係性も理由?
 「他のキャリアと違って、ドコモの場合、 NECや富士通などと電電公社時代からファミリー的な付き合いがあった。その関係が悪くなってしまう懸念もありました。結果として、今春の2トップ戦略をとった際、2トップになれなかったNECがスマートフォン事業から撤退してしまうことにもなりました」

ーーアップルに対するがロイヤリティが高額、という噂もありました
 「ロイヤリティが高かった、というのも大きな理由の1つだと思います。それと、これまでドコモはiモードなどの開発を業界に先駆けてやってきた。そういったソフトウェアの資産を使えなくなる、ということがもう1つ大きな理由になります」

ーーなぜ、このタイミングで販売に踏み切ったのでしょう
 「ドコモとしては、毎月10万件という流出を防がないといけない、という事情がありました。最大54.7%(2002年3月)という携帯加入者数のシェア率でしたが、2013年7月の時点で42.7%と10%以上、シェアを減らしています。また、日本人はiPhoneが非常に好きです。機能でいえば、現在は他のスマートフォンとiPhoneで比較しても大差はないと思います。それでも、友達がiPhoneだから自分もiPhoneにする、とか、友達に教えてもらえるから、という理由でiPhoneを選ぶ人は少なくありません。そういった人の流出を防ぎたい、という意向があります」

ーー条件面でアップル側の譲歩した可能性は?
 「去年、発売したiPhone5では、地図で大きな失敗をするなど、想定以上に伸び悩んでいました。グローバルな点では、アンドロイドに対し、シェアを押さえていきたいという戦略もあったと思います。ドコモは国内に6000万台以上のシェアを持っているので、アップルにとっても魅力だったことに違いはありません。そういう意味では、アップル側も譲歩した可能性があるかもしれません。ドコモオリジナルの機能などが付けられている場合は、そういった歩み寄りがあったと考えられるでしょう」

ーードコモの2トップ戦略の今後は?
 「アップルとの条件にもよりますが、販売の主流はiPhoneに流れていくでしょう。機器メーカーも、かなり厳しくなってくる。これまでの2トップ(ギャラクシーとエクスペリア)にiPhoneが加わった3強、もしくは、iPhoneの1強+αという状態になるかもしれません」

ーードコモの参入で、キャリアの勢力図に変化が起きる可能性は?
 「今後は、回線の品質競争の時代になってくるでしょう。iPhoneを販売することが競争優位性にならなくなったので、ネットワークの強さが重要になってくる。ドコモが、どの周波数を使うかは、まだわかりませんが、品質の良いイメージを持っている。また、auも800メガヘルツ帯を使う予定で、接続品質はかなり良くなると思います。女子高生に対するアンケートがあって、何を基準にキャリアを選ぶか、という質問に対して「接続しやすいかどうか」という回答が一番多かった。女子高生でもそうなので、一般のユーザーはもっと、そういう傾向にあると思います」

ーーソフトバンクやauからドコモへ転入するユーザーが増える?
 「可能性はあると思います。基地局の整備では、ドコモが優位なので、回線品質に差が出てくる場合、ユーザーは流れるでしょう。ただ、契約の2年縛りがあったり、家族を巻き込んでの契約など、引き留め策を打ってくるので、すぐに大きな変化はないと思います」

 以前は、キャリア変更する際、電話番号を変えたくない、メールアドレスを変えるのが煩わしいなどの理由もあり、キャリア間のユーザーの転出転入は多くありませんでしたが、2006年にナンバーポータビリティがスタート。2008年には、iPhoneの上陸によって、勢力図も少しずつ変化してきました。最近では、LINEなどのコミュニケーションツールも普及し、メールアドレスへの依存度も少なくなってきています。キャリア3社からiPhoneが提供されるようになると、回線品質やサービス向上という本質的な面での競争原理が働き、ユーザーにとってはより良い条件が揃うのではないでしょうか。

■細川達也(ほそかわ・たつや) 三菱UFJリサーチ&コンサルティング 経営コンサルティング部長兼チーフコンサルタント。国内外事業戦略の立案、事業性評価、企業再建、BPR・システム構築、内部統制等、幅広い分野の経営コンサルティングに従事。現在は、国内外事業戦略の立案と投資の意思決定支援のアドバイザーとして活動。経営者とともに事業戦略を考え、経済環境分析や経済合理性など客観的な視点で事業を評価し、経営者の意思決定を支援。

最終更新:2016/1/20(水) 4:21
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