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<台風18号>特別警報、なぜ混乱? 課題は?

2013/9/19(木) 16:45配信

THE PAGE

 台風18号による記録的な豪雨で、京都府、滋賀県、福井県において全国で初めてとなる「特別警報」が発令されました。しかし、いくつかの自治体では住民に対する周知が実施されないなどの混乱が見られたほか、そもそも特別警報の存在を知らない住民が多いことが浮き彫りになるなど、皮肉な結果となってしまいました。気象庁が総力をあげて取り組んでいた特別警報ですが課題は山積しているようです。

 特別警報は東日本大震災の津波で想像を超える数の犠牲者を出したことなどを受けて、2013年8月30日から運用を開始した新しい制度です。これまで災害に関する情報は、注意報と警報の2種類でしたが、現在はその上に特別警報というものが設定されています。

運用開始からわずか2週間

 特別警報は数十年に一度しかないような非常に危険な災害の際に発せられ、該当する地域の自治体にはこれを住民に周知徹底することが義務付けられています。また特別警報が発せられた場合には「命を守る行動を取ってください」という呼びかけがニュースなどで流されることになっています。

 運用開始からわずか2週間で数十年に一度の大災害がやってきてしまったわけですが、京都府と滋賀県の4つの自治体では、住民への周知は行われませんでした。周知が行われなかった正確な理由は公表されていませんが、自治体担当者に、いたずらに不安を煽りたくないという意識が働いてしまったという話や、避難指示などの業務に追われ、周知作業を放置してしまったという話が報道されています。

 周知義務を怠ったわけですから厳密には法令違反ということになりますが、住民への周知を躊躇したとされる自治体職員の状況も理解できないわけではありません。実際、多くの住民がこの特別警報のことをよく知らなかったと思われ、その中で特別警報を連呼すればかなりの混乱を招いた可能性があるからです。

「数十年に一度」に疑問も

 当初から、この特別警報に対しては分かりにくいという声が上がっていました。「従来の大津波警報は今回の特別警報に該当する」と説明されて、その意味が瞬時に分かる人は何人いるでしょうか?本当に危険な時に、その切迫感が誰にでも伝わるよう工夫することも重要です。数十年に1度なはずの災害が年に何回もあって、そのたびにテレビなどで「命を守ってください」と連呼されてしまうと、住民の感覚は確実に麻痺してしまいます。

 最近は、世界中で前例のない規模の洪水や突風といった自然災害が発生しています。地球規模で気象に大きな変化が起きている可能性があり、今回、特別警報に該当すると判断された豪雨が本当に数十年に一度というレベルのものなのかについても、やや疑問が残ります。

 今回の特別警報は、東日本大震災における被害の大きさを受け、急いで導入が決定されました。一種のパニック状態の中で導入が決定されたといっても過言ではありません。これ以上犠牲者を増やしたくないという気持ちは分かりますが、本当に人の命を守るためには冷静さが第一です。特別警報を意味のあるものにするためには、分かりやすさを第一に、もう一度、警報発令の基準や用語などについて見直しを行い、着実に導入を進めることが重要と考えられます。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/2/18(木) 4:26
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