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いまさら聞けない国民投票法/「18歳先行」なら成人年齢などとの整合性に問題も

2013/9/23(月) 16:19配信

THE PAGE

 秋の臨時国会が近づき、憲法96条の改正に関する話題が耳目を集めています。それに伴い国民投票法についても改正の動きが活発化しています。国民投票法は、憲法を変えるために必要な法律ですが、いま改正への議論が加速しています。

棚上げされていた「3つの宿題」

 国民投票法の正式名称は「日本国憲法の改正手続きに関する法律」です。憲法を変えるには、国民投票で過半数を獲得しなければなりません。しかし、どのように国民投票を実施するのか、具体的なことは決まっていませんでした。そこで2007年の5月に、第1次安倍内閣が国民投票法として 成立させ、さまざまな決まりをつくったのです。

 ただし、このときは「投票年齢の確定 」「公務員の政治的行為の規制緩和」「国民投票の対象拡大」について意見がまとまらず、「3つの宿題」として棚上げされました。3つの宿題の概要は表にまとめましたが、とくに「投票年齢の確定」が重要視されています。国民投票法の3条によると、その対象は「日本国民で年齢18歳以上」と定められていますが、現状は経過措置、つまり様子見の段階です。この「18歳以上」という国民投票の基準を確定させて、公職選挙法における選挙権年齢や民法における成人年齢も18歳に合わせるか否かが焦点になっていたのです。

18歳に引き下げるのは「国民投票」だけ?

 自民、公明の両党は、秋の臨時国会に国民投票法改正案を提出する見込みで、自民案には国民投票の投票年齢を18歳以上に確定することが含まれているようです。ただし、18歳以上を対象とするのは国民投票に限られ、選挙権年齢や成人年齢については、今回盛り込まれないという見方が強まっています。

 また、残る2つの宿題である「公務員の政治的行為の規制緩和」「国民投票の対象拡大」にも賛否さまざまな意見があるため、今回も棚上げされる可能性が高そうです。

 では、なぜ国民投票だけ18歳にこだわるのでしょうか。そもそも投票年齢を18歳まで引き下げるのは、若者の政治への関心を高めたいという目的があってのものです。少子高齢化が進み、若者の声が政治に反映されづらくなっているなか、18歳での投票が可能になれば、不公平感の軽減につながるという期待もあります。

 とはいっても、年齢引き下げの範囲を国民投票以外にも広げることは、一筋縄ではいきません。たとえば成人年齢の引き下げは、「18歳で大人」ということを定義することになります。現状より2年早く「大人」と認めることには賛否が分かれており、さらなる議論の必要性が指摘されています。また、これまで「少年」に分類されていた層が「大人」に変わることで、少年法をはじめ、約300もの法令になんらかの影響が出るといわれています。

 公職選挙法における選挙権と、国民投票権の投票年齢に違いがある点も問題視されており、このままでは国民投票には投票できるのに、通常の国政選挙には投票できないといったおかしな状況になりかねません。

 こういった問題に関する見解は政府内でも異なるようで、たとえば総務省は公職選挙法の選挙権年齢と民法の成人年齢は一致するべきとしていますが、法務省は民法改正に慎重な立場を示しています。

 そこで、まずは国民投票だけでも18歳以上で確定させ、改憲への道筋をつける…という流れが現実的になるわけですが、場当たり的な対応にならないように、しっかり検討しなければなりません。

(Sherpa/編集プロダクション)

最終更新:2016/2/18(木) 3:47
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