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アメリカで宇宙ベンチャー続々、日本は追いつけるか

2013/9/25(水) 10:00配信

THE PAGE

 日本では新型固形燃料ロケット「イプシロン」の打ち上げが成功し、大きな話題となりました。一方、宇宙開発の先進国である米国では、宇宙開発の民営化が急ピッチで進み、宇宙関連ベンチャーが続々と誕生しています。

 これまで米国の宇宙開発は、政府機関であるNASA(米航空宇宙局)が中心的な役割を担ってきました。人類を月に送ったアポロ計画や宇宙ステーションの運営をより現実的なものにしたスペースシャトル計画などは、すべてNASAが行ってきたものです。

 しかし米国はスペ-シャトル計画の終了とともに、NASAの規模を大幅に縮小し、宇宙開発の大胆な民営化を決定しました。NASAは火星探査など難易度の高い科学目的のプロジェクトに専念し、宇宙ステーションの運営といった事業性の高い分野については、基本的に民間に委託することを決定したのです。

無人補給船シグナスの打ち上げ成功

 この動きを受けて、スペース・エクスプロレーション・テクノロジーズ(通称スペースX社)は2010年12月、民間企業としては初めて、軌道に乗った衛星の回収業務を実施しました。2013年9月18日には、オービタル・サイエンシズ社が、国際宇宙ステーション(ISS)に物資を輸送する無人補給船「シグナス」の打ち上げを成功させています。スペースXはインターネット決済企業であるPayPalの創業者が設立した企業で、2002年に設立されたばかりのベンチャー企業です。このほかにも米国では続々と宇宙関連ベンチャーが設立されており、ちょっとした宇宙ビジネス・ブームになっているのです。

 米国が宇宙開発の民営化を進める背景には、宇宙技術の急速なコモディティ化(付加価値がなくなり価格面しか差別化要因がなくなること)があります。IT(情報技術)の普及は世の中の風景を一変させました。IT化の影響によってあらゆる製品の付加価値が減少し値段が劇的に低下したのです。宇宙技術も決してその例外ではありません。

 技術が未成熟な時代には、ロケットの開発や打ち上げ、衛星の管制などには高い付加価値がありました。しかしIT技術を駆使するとこうした技術の汎用化が可能となり、近い将来、宇宙開発の世界にも劇的な価格破壊が起きこると予想されています。米国はこうした状況を見据え、宇宙開発の民営化を世界に先んじて進めているのです。要するに米国は、付加価値の低い分野は途上国にアウトソースして、宇宙開発の世界でもアップルやグーグルになろうとしているわけです。

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最終更新:2016/2/10(水) 4:02
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