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薬ネット販売 不毛な論争尻目にアマゾン参入

2013/9/25(水) 12:25配信

THE PAGE

 最高裁が市販薬のネット販売を事実上認める判決を下したことで決着したと思われていた市販薬のネット販売問題ですが、再び規制をかけようという動きが活発化しています。

ネット販売に「実店舗」義務付け

 市販薬の新しいネット販売ルールを議論している厚生労働省の検討会議は9月20日、ネットだけの販売は認めず、薬剤師が常駐する実店舗を持つことを義務づけるなどの新しい制度を作ることを決定しました。これに対してネット販売事業者が激しく反発しています。

 一方で外資系のアマゾンドットコムは9月24日、自社のモールに出品している小売業者を通じて、市販薬のネット販売を本格的にスタートさせました。ネット規制をめぐる不毛な論争をしている間に、外資系企業が着々と事業基盤を固めるという皮肉な結果になっています。

 市販薬には、副作用などリスクが高い順に1類から3類まで3つの区分があります。薬事法では、リスクの高い第1類と第2類については、薬剤師などによる説明義務を課しており、厚労省ではこの法律に基づいてネット販売を禁止していました。しかし2013年1月、最高裁が第1類と第2類の市販薬の販売を一律規制した厚労省令を違法とする判決を出しました。これを受けて安倍首相は6月、安全ルールを確保した上で全種類の市販薬のネット販売を解禁すると発表し、各社が市販薬のネット販売を再開しています。

 市販薬の対面販売については、実際に薬剤師が店舗に常駐していないケースも見受けられるなど形骸化が指摘されていたほか、地方などドラッグストアが少ない地域ではネット販売が唯一の購入手段になっているところもあり、ネット販売の解禁を求める声が上がっていました。

大手ドラッグストアの声を反映

 しかし大手ドラッグストアなど実店舗を構えている業界はこれに猛反発しています。建前上は薬の安全性が担保されないという主張になっていますが、ネット販売に顧客が奪われることを危惧していることは明らかです。厚労省の検討会議はこうした既存業者の声を反映したものとなっており、これにネット販売業者が猛反発するという構図になっているのです。

 ネット事業者に顧客を奪われることを危惧する既存業界の立場も分かりますが、危険性も含めて最終的に是非を判断するのは利用者であって事業者ではありません。利用者からの強いニーズがある以上、ネット販売を完全に自由化するのは時代の流れといってよいでしょう。

 市販薬のネット販売については国内事業者が先行していたのですが、一連のゴタゴタによって外資系であるアマゾンに完全に追い付かれてしまいました。目先の利益をめぐる不毛な論争は、結果的により大きな損失につながってくるのです。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/2/16(火) 4:52
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