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JR北海道、なぜ政府が介入できる?

2013/10/3(木) 11:10配信

THE PAGE

 JR北海道がレール幅の異常を放置するなど安全管理を怠っていた問題で、政府はとうとう同社の経営体制刷新に乗り出しました。菅官房長官は「鉄道事業の信頼が損なわれないように国が指導していくことになる」と述べていますが、そもそも民間会社であるはずのJR北海道の経営に政府は介入できるのでしょうか?

 JR北海道は形式的には民間会社になっていますが、実質的には国営企業であり、政府が経営に介入することができます。JR北海道の株式はすべて独立行政法人「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」が保有しており、代表権を持つ役員の人事は閣議の了解が必要です。

実質的に政府が保有

 またJR北海道は鉄道事業単独では事業の継続が不可能であることから、民営化に際して「経営安定化基金」と呼ばれる資金を提供されていますが、この資金の多くは株主である鉄道建設・運輸施設整備支援機構に特別に高い金利で貸し付けられています。つまり、JR北海道は実質的に政府が保有し、税金で赤字の補填を行っているのです。

 実はこうした仕組みはJR北海道だけではありません。旧国鉄の民営化にあたっては経営基盤が弱い北海道、四国、九州の3社についてはまったく同じスキームが組まれています。このうちJR九州だけは鉄道事業単体での存続が何とか可能な水準ですが、北海道と四国は国からの補填がないと事業の継続は不可能です。

 このような仕組みが導入された理由は、国鉄の民営化が分割ありきでスタートしたことにあります。首都圏を抱えるJR東日本、東海道新幹線を持つJR東海、関西圏を網羅するJR西日本は十分に自力経営が可能です。

税金で穴埋めしないと経営成り立たず

 しかし、北海道や四国はほとんどが赤字路線であることから補填なしには経営が成り立ちません。経営環境があまりにも異なる各社を同じ条件で民営化することはできなかったため、経営が困難な北海道、四国、九州の3社には安定化基金が提供されることになりました。一方、JR東日本やJR東海など大きな利益が見込めるところは、逆に旧国鉄が抱えた負債の一部を引き継ぐことになったのです。

 国鉄の分割民営化は単に累積赤字の問題にとどまらず、労働組合の内部対立など多分に政治的要因が絡んでいます。JR北海道の一連の不祥事も、こうしたいびつな形での民営化が大きく影響している可能性があります。単純に経営者を交代させれば解決するという問題ではないのです。赤字で立ちゆかない公共交通機関は、国としてどのように取り扱っていくべきなのか、きちんとした議論を行った上で対策を講じなければ、同じような問題が再び起きないとも限りません。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/2/24(水) 3:03
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