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ただいま金利が低下中、これっていいこと?悪いこと?

2013/10/9(水) 12:28配信

THE PAGE

 このところ金利の低下傾向が顕著になっています。日本はデフレでしたから長期にわたって低金利が続いてきました。しかし日銀による量的緩和策の発動で一時は金利が上昇するかに見えましたが、金利は再び低下を始めています。これは何を意味しているのでしょうか?

 10月に入って日本の債券市場では10年物国債の利回りが5カ月ぶりに0.65%を割り込みました。素直に考えれば金利の低下は日銀による量的緩和策が順調に進んでいる証拠といえます。

 日銀による量的緩和策とは、日銀が国債などの金融商品を積極的に購入し、市中に大量の資金を供給する政策です。市場で取引されている国債の多くを日銀が買い占めますから、国債の値段は上昇します。つまり金利は低下することになるわけです。金利が下がれば、銀行からお金を借りやすくなりますから、理論的にはこれで企業の設備投資が増えることになります。

今後も高い経済成長は見込めない?

 しかし一方で、金利が低いということは、今後もデフレ傾向が続くと市場が判断していると解釈することもできます。長期金利の水準は最終的にはその国の経済成長率と一致しますから、金利が下がってきているということは、日本は今後も、高い経済成長が見込めないという意味にもなるのです。

 これがどのような結果になるのかは将来になってみなければ分かりませんが、このところの金利低下の正体はどうも金融機関の売買動向に原因があるようです。

 これまで銀行は日本国内に良い融資先が見つからず、預金者から集めたお金の多くを国債運用に回してきました。量的緩和策には、日銀が市場の国債を買い占め、銀行が国債を買えなくしてしまうという意味も含まれています。国債を買えなくなった銀行は、積極的に融資先を開拓するようになり、結果的に企業の設備投資が増えることが期待されているのです。

借りたがるのは危ない会社ばかり

 しかし銀行にしてみれば、急に融資先を開拓するといっても資金需要のない会社にいくら営業したところでお金は借りてもらえません。日本の大企業は過去最高水準の現金を保有しており、融資を望むのは経営が危ない会社ばかりなのです。この結果、銀行が運用先に困り、再び国債の購入を始めた可能性があるのです。

 この状況を脱却するには、金融政策とは別に景気対策によって国内の経済を活性化させ、企業の資金ニーズを高めるようにするのか、そうでなければ、銀行がこれ以上国債を購入できないよう、さらに量的緩和策を拡大させるのかの選択を迫られることになってしまいます。市場の一部からはすでに追加緩和を求める声も出ているのですが、量的緩和策には当然のことながらインフレという副作用が伴います。日銀による量的緩和策はいよいよ正念場を迎えているといえるでしょう。


(大和田 崇/The Capital Tribune Japan編集長)

最終更新:2016/2/7(日) 3:05
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