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次期FRB議長イエレン氏、「リベラルな面」に心配の声も

2013/10/10(木) 10:39配信

THE PAGE

 オバマ米大統領は、来年1月で退任するバーナンキFRB(連邦準備制度理事会)議長の後任として、現FRB副議長のジャネット・イエレン氏を指名する。就任には議会承認が必要だが、承認する方向で固まりつつあり、議長就任はほぼ確実とみられる。正式に就任すれば、FRB初の女性議長となる。

 当初オバマ大統領は、サマーズ元財務長官を最有力候補として検討していた。サマーズ氏は、クリントン政権時代に財務長官を、オバマ政権1期目に国家経済会議(NEC)委員長を務めた実績があり、オバマ大統領はその能力を高く評価していた。

 だがクリントン政権時代に金融規制緩和を強力に推進しており、今回の危機の原因を作った張本人であると一部から批判されていた。またサマーズ氏は女性差別発言など問題が多く、議会とのコミュニケーション能力も懸念されていた。結局、サマーズ氏から指名を辞退する申し出があり、人事は振り出しに戻っていた。

 イエレン氏は、中央銀行での経験が長く、バーナンキ議長の片腕として量的緩和策を支えてきた一人である。能力的にも経験的にも申し分ない。また、イエレン氏はコンセンサスを得ることを重視する人物といわれており、現在のバーナンキ議長とも通じるところがある。イエレン氏が就任すれば、FRBの政策に大きな変化は生じないという意味で、市場の安心感は高いと考えられる。

雇用にこだわりすぎるとインフレ加速も

 だがこうした安心感が逆にマイナスに作用する可能性もある。FRBはリーマンショック以降、継続的に行ってきた量的緩和策を縮小するタイミングにある。従来とは真逆の政策に転換するタイミングであり、コンセンサス重視型の運営が必ずしも効果的に作用するのかは保証の限りではない。

 特に懸念されるのが、イエレン氏のリベラルな側面である。イエレン氏は多くの経済指標の中でも雇用関連を特に重視しており、失業率に対する関心が高いといわれる。イエレン氏は量的緩和の縮小について、雇用情勢がまだ不透明であることから慎重なスタンスを崩していない。市場関係者の多くは、イエレン氏は雇用指標に明確な改善が見られるまでは緩和縮小を実施しないと考えており、その意味で彼女に大きな安心感を抱いている。

 だが米国が着実に景気回復しているのは事実であり、もしかすると今回の景気回復は、かつて90年代に見られたようなジョブレス・リカバリー(雇用なき景気回復)である可能性も高くなってきている。もしそうであった場合、イエレン氏が雇用指標にこだわりすぎてしまうと、想像以上にインフレを加速させてしまう危険性がある。景気の局面が変わろうとしている今、イエレン氏のキャラクターが必ずしも最適であるとは限らないのだ。

 もちろんこうした懸念は杞憂に過ぎないのかもしれない。ただバーナンキ氏が就任した時に比べると、イエレン氏に対する周囲の評価はかなり高いといってよい。過剰な期待は失望を生む原因となる。米国経済の現状と量的緩和縮小についてイエレン氏がどのような見解を示すのか、冷静に判断していく必要があるだろう。

(ニュースの教科書)

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最終更新:2015/4/15(水) 4:25
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