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ブロガーが先行追及、アブラハムに業務停止命令

2013/10/11(金) 10:07配信

THE PAGE

 「いつかはゆかし」のキャッチフレーズで知られている投資助言会社アブラハム・プライベートバンクについて、金融庁は10月11日、金融商品取引法に違反しているとして業務停止命令を出しました。証券取引等監視委員会の勧告を受けたものです。金融商品の取り扱いをめぐって行政処分が行われることはめずらしくありません。しかしアブラハム社については、以前から著名ブロガーが問題を指摘しており、ブログでの言論がリードして行政処分に至ったという点で非常に興味深いケースとなっています。

ブログに公開質問状

 同社の問題を指摘していたのは著名ブロガーの山本一郎氏。同氏はハンドルネーム「切込隊長」として知られたブロガーで、掲示板サイト「2ちゃんねる」にも大きく関わった人物です。山本氏は2013年3月7日、アブラハム社に対する質問状を自身のブログに公開しました。

 山本氏は、アブラハム社は海外のヘッジファンドを直接購入できるとうたっておきながら、実際にはファンド商品を販売する形になっており、宣伝内容と実態が異なると主張していました。また月額5万円の積立で30年間で1億円が貯められるという同社の宣伝文句は、非現実的で誇大広告にあたるとの指摘も行っていました。

 アブラハム社はこれに対して「一部ブロガーによる悪質なデマ」であるとして、全面対決の構えを見せていましたが、結局、山本氏に対する訴訟その他の法的なアクションは行われませんでした。

 同社は現在、投資助言・代理業として関東財務局に登録しています。この区分では投資家に対して助言をすることまでは可能ですが、特定の金融商品を勧誘したり、商品の販売会社から手数料を受け取ることはできません。この業務を実施するには第二種金融商品取引業の登録が必要となりますが、同社はこの登録を行っていませんでした。

誇大広告などの指摘は当たっていた

 監視委員会では、同社が海外ファンドの運用業者から、海外の関連会社を通じて実質的な手数料を受け取っており、第二種金融取引業の登録が必要であったと判断しています。またアブラハム社が自社のサイトで「金融機関や運用会社から販売手数料等をもらっていません」と虚偽の説明をしていたとも指摘しています。

 当初アブラハム社は見解の相違であるとしていましたが、一転して金融庁の行政処分を受け入れる方針を明らかにしました。実質的に同社はファンドの販売会社であり、誇大広告になっているという山本氏の指摘は当たっていたことになります。

 日本では低金利の長期化や日本での投資機会の減少からこうした新しい投資サービスに対する関心が高まっています。今回のケースは資産の多くが消失したMRIインターナショナルやAIJ投資顧問のケースに比べれば悪質ではありません。投資助言会社が実質的な勧誘をするケースは多く、違法ではあるものの、これまで大目に見られてきたという現実もあります。一般の個人投資家にとってこうした情報はなかなか得にくいのが現実です。

 山本氏のブログでの指摘は一種の市民ジャーナリズムといってもよいものですが、こうした情報発信の形態が有効に作用することを今回のケースは証明したといってもよいでしょう。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2018/10/5(金) 18:35
THE PAGE

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