ここから本文です

法人税減税の効果に2つの疑問

2013/10/15(火) 10:11配信

THE PAGE

 安倍政権が法人税の減税(実効税率の軽減)について本格的な検討を開始しました。10月1日に発表された消費増税とセットの経済対策には盛り込まれませんでしたが、首相は2015年からの引き下げに意欲を示しています。

 安倍政権では、法人減の減税を成長戦略の切り札と位置付けており、減税が実現すれば賃上げにもつながると主張しています。しかし、財政収支を気にする財務省や与党の一部からは慎重な意見が出ています。財政均衡論者の集まりと言われる財務省が減税に慎重なのはある意味で当然なのですが、景気対策という点においてもその効果を疑問視する声があるのも事実です。

企業の75%は法人税払わず

 日本の法人税の実効税率は諸外国に比べて高いとされています。財務省の調査では日本の法人税の実効負担率は35.7%で、ドイツ(29.6%)やイギリス(24%)、シンガポール(17%)などと比べると高くなっています。日本の実効税率を諸外国並みに安くすれば企業の手元資金が増え、競争力が強化されて、経済が活性化するというのが減税派の主張です。また実効税率が下がれば外国企業の日本進出の増加が期待されますから、これも経済を活性化させる要因となります。

 しかし現実には法人税の減税はそれほど効果を上げない可能性が高いと考えられます。その理由のひとつに、日本では法人税を支払っている企業が少ないという現実があります。日本には税金を申告している法人が約260万社ありますが、このうち黒字の法人は約65万社と全体の25%しかありません。残りの約75%は赤字となっており法人税を支払っていないのです。したがってこの状態で法人税を減税しても25%の黒字法人にしか効果はないのです。

 黒字法人は大企業が多いので、減税によって大企業が元気になればよいという考え方もあるのですが、ここにも大きな落とし穴があります。

「大企業の製造業」は軽い税負担

 日本の法人税は実は公平な仕組みになっていません。租税特別措置法という法律があり、一定の要件を満たせば特定の法人が負担する税金を軽減させることができるようになっています。この適用を受けている法人は圧倒的に大企業の製造業に集中しています。こうした企業の実質的税負担はすでに諸外国並みに低くなっている可能性があり、ここから実効税率を引き下げても大きな効果は得られないのです。そうなると多くの国民が望む賃上げも期待できなくなってしまいます。

 また、こうした優遇措置があると、外国から参入してくる企業には不利になり、当初予定した外資による経済の活性化も実現できません。法人税減税を成長戦略の切り札にするのであれば、特定企業への税の優遇を見直すといった税制の抜本改正とセットにする必要があるでしょう。しかし税制の抜本改正には根強い反対意見があり、実現はかなり難しいと考えられます。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2015/12/11(金) 4:09
THE PAGE