ここから本文です

サザエさん銅像「課税」騒ぎ、問題はどこに?

2013/10/23(水) 9:55配信

THE PAGE

 東京都世田谷区に設置された「サザエさん」の銅像が固定資産税の対象となったことが話題となりました。結局、東京都は税金を免除にしてしまったのですが、そもそもこのような銅像は税金の対象になるものなのでしょうか? また税金をかけたり、免除したりという判断は自由に変えられるものなのでしょうか?

 問題となった銅像は、サザエさんの原作者である故長谷川町子さんが住んでいた東京都世田谷区の桜新町駅前に昨年設置されたものです。設置したのは桜新町商店街振興組合なのですが、東京都は今年6月、これに対して固定資産税約60万円を支払うよう通知を出しました。試算では今後45年間で総額980万円の納税額となる見込みだったそうです。

事業用資産に固定資産税をかけるべきか

 東京都がこの銅像に課税するのは「PR活動」という事業目的の資産であるからという理由です。現行の税法では、事業用の資産には固定資産税をかけることになっており、PR活動は事業に相当するという位置付けになります。

 しかし、同じく人気漫画「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の主人公「両さん」の銅像は非課税です。その違いは「両さん」の銅像は主に葛飾区の所有(1体は神社の所有で収益性なしとみなされています)となっているところにあります。同じPR活動という事業でも自治体が所有していれば非課税になるのです。

 また自治体の所有ではなくても、公共性が高いと判断されたり、美術品であると判断されれば、役所の判断で非課税にすることも可能です。結局、東京都が残額を免除する通知を送ったことでとりあえずの解決となりましたが、これら一連の出来事は日本の固定資産税に関する問題を浮き彫りにしたといってよいでしょう。

 まず最初は、そもそも事業用資産に固定資産税をかけるべきなのかという問題です。国際的に見て、事業用資産に固定資産税を課税する先進国はほとんどありません。事業用資産は減価償却の対象なので、使っていくうちに価値がなくなると理解されています。また事業用資産は企業が収益を上げるために所有するものですから、最終的には企業利益を生み出すので法人税を徴収できます。したがって固定資産税の対象とすることは二重課税になるという見解が多いのです。

 税制改正要望には毎年のように事業用資産の固定資産税の軽減が盛り込まれていますが、固定資産税は地方自治体の主要な財源の一つになっているので、なかなか実現しないという現実があります。

課税・非課税の基準があいまい

 もうひとつは、課税、非課税に関する基準が曖昧という問題です。結局、今回は非課税となりましたが、どこまでが公共物でどこまでがそうでないかという明確な基準が存在していません。これでは役所の勝手な判断で課税でも非課税でも決めることができてしまいます。

 税は国や自治体の根幹であり、税の扱いを決めるのは我々国民です。今回の出来事をきっかけに、税金とはどのような理由で徴収すべきものなのか、もう一度考え直してみる必要があるでしょう。


(大和田 崇/The Capital Tribune Japan編集長)

最終更新:2016/2/18(木) 3:52
THE PAGE