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<アンパンマン>やなせ氏に自治体が「無報酬依頼」、問題はどこに?

2013/10/24(木) 10:35配信

THE PAGE

 クリエイターにタダで作品を作って欲しいと依頼することは失礼なことなのでしょうか?アンパンマンの作者で、10月13日に心不全のため亡くなったやなせたかし氏が、地方自治体からノーギャラの仕事を多数受注していたことを告白していたことから、コンテンツの対価をめぐってちょっとした議論が沸き起こっています。

 やなせ氏は全国の自治体から200近くのご当地キャラの製作依頼を受けたそうですが、数件を除いてほとんどがノーギャラだったそうです。やなせ氏は「軽く見られているんだよ」と対談で述べていたのですが、これに対して漫画家の吉田戦車氏は「作品に対する敬意はあるのか?」と自治体を強烈に批判しています(後に批判したことをツイッターで謝罪)。

自動車メーカーに無償提供求めるか

 やなせ氏の話はあくまで対談における発言なので、事実関係が確認されたものではありません。ただ、大阪市天王寺区が無報酬のデザイナーを募集して批判を浴びたり、政府主催のクールジャパン推進会議において秋元康氏がクリエイターに無報酬で協力を求める趣旨の発言を行うなど、官公庁が無償で製作を要求するケースは現実に存在しています。自治体がやなせ氏に無償で製作を依頼していたという話はおそらく事実と考えられます。

 最近はネット上で芸術作品をシェアするなど、いわゆる「フリー」の文化も発展してきており、無償で作品を求める行為がすべて批判されるべきものとはいえません。やなせ氏自身もボランティアにおける無償提供の意義は認めています。

 ただ、政府はクールジャパンと称してコンテンツ産業の促進を国策として掲げていますし、各自治体はどこも地域産業の振興に力を入れており、その中にはコンテンツに関連したものも少なくないと考えられます。

 また、いくら公共の目的があるとはいえ、メーカーに対して無償で自動車や電気製品を提供するように要請する公的機関は存在しないはずです。自動車とコンテンツでは原価の仕組みが異なるとはいえ、無償提供を求めるのがコンテンツに限定されているであろう現状を考えると、こうした官公庁の姿勢は、コンテンツの価値を認めていないことの裏返しといってよいでしょう。

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最終更新:2016/2/17(水) 3:22
THE PAGE