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外貨準備、民間でも運用ってどういうこと?

2013/10/28(月) 12:17配信

THE PAGE

 政府は、これまで財務省が行ってきた日本の外貨準備の運用を民間にも開放する法案を、今国会に提出します。そもそも外貨準備とはどのようなもので、その運用を民間に委託することにはどんな意味があるのでしょうか?

政府が1兆3000億ドルを保有

 政府は現在、約1兆3000億ドル(約127兆円)にものぼる外貨準備を保有しています(9月時点)。外貨準備とは外国為替相場の安定のために行う為替介入の資金として政府が保有している外貨のことを指します。

 もともとは通貨危機などが起こった際に、日本が外貨決済に窮したりしないよう、政府があらかじめ外貨を準備しておく目的で作られたものです。しかし、現在の日本は経済大国となり、長年の貿易黒字で莫大な外貨を保有していますから、外貨決済ができなくなることはまずありません。

 また、1973年に為替が変動相場制に移行して以降、ずっと円高ドル安が続いてきましたから、日本は絶えず相場の安定のためにドル買い介入を行ってきました。現在の外貨準備は、こうしたドル買い介入の結果、日本政府に蓄積された外貨であると考えた方が自然でしょう。日本の外貨準備の多さは中国と並んで世界でも突出したレベルになっているのですが、その理由は過去に行われた大規模な為替介入にあるのです。

リーマンショック以降、投資収益率が低下

 これまで外貨準備のほとんどは米国債、つまりドルで運用されていたのですが、米国債は日本に対して安定的な投資収益をもたらしてくれました。日本は現在、貿易赤字が顕著になっていますが、国の最終的な利益である経常収支は黒字を維持しています。その理由は外貨準備をはじめとする対外債権の多くが米国債で安定的に運用されてきたからです。経常収支の黒字は絶対に維持しなければならないものではありませんが、国際収支の急激な変化を防ぐためには重要なことであると認識されています。

 しかしリーマンショック以降は、米国債の利回りが大きく低下したことで投資の収益率が下がってきており、外貨準備においても、より効率的で機動的な運用が求められるようになってきました。今回の制度見直しは、外貨準備の運用に民間のノウハウを取り入れ、運用効率を向上させることを目的としています。

 ただ現実には、外貨準備の運用を民間に解放してもすぐに状況が変わるわけではありません。なぜなら、当面は運用対象を米国債や国際機関債など、従来と同じく安全性が極めて高い商品に限定してしまう可能性が高いからです。売買のタイミングをきめ細かく判断できるなど、運用の効率化は期待できますが、外貨準備から得られる投資収益が、民間のノウハウによって大きく向上するということは当面なさそうです。しかも金融機関には手数料を支払いますから、それを差し引いても大きな利益を出せるのかは現時点では何とも言えません。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2015/3/22(日) 3:03
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