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<アベノミクス>戦略特区の陰で進む規制強化

2013/11/7(木) 10:18配信

THE PAGE

 成長戦略の重要な柱となる国家戦略特区法案が11月5日、閣議決定されました。規制緩和を大胆に進め、安倍政権の「本気度」を示す法案ということなのですが、肝心の法案の中身を見てみると、必ずしもそうとは言えません。安倍政権は特区をはじめとする成長戦略の議論とは別に、規制を強化する政策も進めており、全体としてみればむしろ規制緩和は後退しているというのが実際の姿といえるでしょう。

大胆な規制緩和に乏しい

 国家戦略特区法案では、医療、教育、まちづくり、農業などの分野が規制緩和の対象として列挙されています。しかし岩盤規制(既得権益者の抵抗にあってなかなか緩和できない規制のこと)の象徴といわれた雇用については、有期雇用期間の延長などごくわずかな改革に終始してしまいました。

 他の分野についても、病院のベッド数増加、公立学校運営の民間開放、土地の容積率緩和、農業法人の役員数の要件緩和などであり、経済全体に効果を及ぼすような大胆な規制緩和策というわけではありません。

 2020年の東京オリンピック開催に向けて賃貸住宅を宿泊施設に転用できるようにする施策などは、戦略特区の目玉というよりも、押し寄せる来訪者を処理するために、最低限実施しなければならない施策といってよいでしょう。いずれの政策も、新しい事業を民間の自由な発想に委ねるのではなく、既存の事業の幅を拡大するだけにとどまっており、ここから革新的なビジネスが生まれてくる可能性は少ないと考えられます。

 またこの法案には、政府が指定した事業に対して銀行の利子を税金で助成する措置も含まれています。本来規制緩和とは、邪魔な規制をなくし、民間企業が自由に活動を行うことで経済を活性化しようというものです。

 しかし政府からの助成というのは、政府が指定した特定の企業を支援するものであり、規制緩和とは反対の考え方に基づく政策です。規制緩和の政策に助成策を盛り込んでしまうと、助成対象にするかどうかという決定権そのものが官の利権になってしまう可能性があります。

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最終更新:2015/9/19(土) 4:52
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