ここから本文です

アメリカの景気っていいの?悪いの?――指標がよくても報道は悲観的

2013/11/12(火) 10:23配信

THE PAGE

 日本では、米国の景気回復が遅れているという報道をよく目にします。実際、米国の中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)は失業率が改善しないことを理由に量的緩和策の縮小を延期しました。米国の景気は本当に良くないのでしょうか?また日本にはどのような影響があるのでしょうか?

GDP成長率や雇用者数は堅調だが

 米商務省は11月7日、2013年7月~9月期の実質GDP成長率を発表しました。それによるとこの四半期の成長率は年率換算でプラス2.8%となり、事前予想を大きく上回りました。米国のGDPの7割を占める個人消費が順調に伸びたことと、住宅投資が活発だったことが大きく影響しました。

 また翌日の8日には米労働省が最新の雇用統計を発表しましたが、代表的な数値である非農業部門の雇用者数は前月比で20万4000人の増加となり、こちらも事前予想を大幅に上回りました。20万人以上の雇用者増加は米国経済が堅調であることの証といわれています。製造業や非製造業の景況感の指数も好調だったことを考えると、少なくとも数字の上では、米国経済はまずまずといった状況です。

 しかし米国では景気回復は不十分というトーンの報道が多く、日本の報道もその論調を引きずっていますから、日本から見ると米国は非常に景気が悪いように見えます。米国で悲観的な報道が多いのは、経済に対する国民の要求水準が日本と米国では大きく異なっていることや、失業率があまり改善していないことが主な原因です。

 日本は20年もデフレが続き経済が縮小していますが、米国はリーマンショックのマイナスを含めてもここ10年で平均2%近い成長率を実現しています。米国人にとっては毎年2%成長し、所得が増えてくることは当たり前ですから、ちょっとでも成長鈍化を示唆する指標が出ると大騒ぎします。もし米国で、日本のように20年もデフレが続いたら大変な事態になっていたでしょう。

失業率が政治的な問題に

 また米国は、常に生産性の高い新しい産業にシフトしていく国ですから、古い産業のスキルしかもたない労働者は、なかなか再就職できません。日本とは別の意味で、一度クビになってしまうとその後が大変なのです。このため景気が回復しても失業率が思ったほど改善せず、これが政治的に大きな問題になっています。

 政治的にはともかく、経済的に見れば米国は比較的堅調といえます。そしてこのことは、日本にとって大変重要なことです。日本の基幹産業である製造業の多くが米国景気に依存しているからです。中国などアジア市場がこれからの成長のカギであるという話をよく聞きますが、必ずしもそうとはいえません。中国などアジア向けに輸出した製品の多くは、現地で最終製品となり、米国に再輸出されているからです。もし米国の悲観論が現実のものとなり、景気が失速するような事態になれば、もっとも困るのは日本ということになるでしょう。


(大和田 崇/The Capital Tribune Japan編集長)

最終更新:2015/11/27(金) 4:13
THE PAGE