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欧州経済 ドイツ独り勝ちは悪いこと?

2013/11/21(木) 15:46配信

THE PAGE

 高い競争力を背景に巨額の貿易黒字を計上しているドイツに対して、各国から批判の声が高まっています。ドイツの儲けすぎは、世界経済に悪い影響を与えているのでしょうか?

際立つドイツの貿易黒字

 米財務省は10月30日に発表した為替報告書の中で、ドイツの輸出依存度の高さが欧州経済の安定にマイナスの影響を与えていると指摘しました。同様の指摘はIMF(国際通貨基金)も行っています。

 報告書が指摘するように、ドイツの貿易黒字は際立っています。2012年のドイツの貿易黒字(サービス収支含む)は1579億ユーロ(約21兆3500億円)となっており、ドイツのGDPの5.9%を占めます。投資による収益などを加えた最終的な収支である経常黒字は1835億ユーロ(約24兆8000億円)で、ドイツのGDPの6.9%に達します。EU全体の経常黒字が15兆円程度ですから、ドイツは一国で欧州全体を上回る利益を上げていることになります。

 実際、EU域内の貿易におけるドイツの存在は圧倒的です。ドイツにおけるEU域内の貿易黒字は480億ユーロ(約6兆4900億円)ですが、フランスの貿易赤字は914億ユーロに達します。このほか東欧諸国など経済水準の低い国の多くがドイツとの貿易不均衡に悩まされています。欧州は10%を超える高い失業率となっている国が多いのですが、ドイツの失業率は完全雇用ともいえる5%台であり、最近はお金だけでなく、労働者までもがドイツに押し寄せている状況です。

 ドイツが巨額の貿易黒字を計上できるのは、ドイツの工業製品が高品質で価格も手頃だからです。ドイツが内需を拡大し、もう少し欧州各国からモノを買えば、スペインなど経済危機を抱える国とのバランスの悪さは解消される可能性が高くなります。

輸出で儲けて他国支援で還元?

 しかし欧州内部の問題としてではなく、欧州と米国、欧州とアジアといった図式で考えると、状況は少し変わってきます。ドイツが製造業に力を入れ、高品質な製品を大量に供給できているからこそ、欧州全体としては、米国やアジアに製品を輸出して黒字を確保することができています。

 ドイツが欧州域内の利益を独り占めしているように見えますが、ドイツは輸出をするために欧州各国から原材料や部品を輸入しています。ドイツ製品の国際競争力が弱くなると、欧州各国のドイツに対する輸出がかえって減ってしまう可能性もあるわけです。

 ドイツの欧州域内における輸入シェアは実は20%を超えており、すでにドイツは欧州各国から大量の製品を購入している状況です。ドイツがさらに輸入を増やすためには、積極的な財政支出で内需を拡大するしかありません。

 しかし巨額の財政支出によって、これまで良好だったドイツ政府の財政が悪化するような事態になれば、今度はドイツによる各国への経済支援が期待できなくなります。結局のところドイツが輸出で儲けることは許容しつつ、ドイツが得た利益については、経済的に苦しい地域への支援という形で還元するという、従来のやり方しか現実的な解決策はなさそうです。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2015/11/23(月) 4:42
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