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樹木希林さん告白で注目「全身がん」って何?

2013/11/28(木) 10:48配信

THE PAGE

 女優の樹木希林さんが、テレビ番組で自身のがんについて語った内容が大きな話題となっています。樹木さんが「全身がん」と表現したことから「全身がんって何?」と思った人も多いようですが、これはどういうことなのでしょうか?

体のあちこちに転移した状態

 結論から言うと「全身がん」という「がん」は存在しません。がんは、ある臓器で発生した後、それを摘出したり、その活動を抑制することができなかった場合、リンパ管などを通じて他の臓器に転移するという特性があります。最初に出現したがんを原発巣、転移したがんのことを転移巣と呼びます。不幸にして、体のあちこちにがんが転移してしまった状態のことを樹木さんは「全身がん」と表現したようです。

 樹木さんは、2004年に乳がんとなり、翌年右乳房の全摘出手術を受けました。2007年には同じ場所でがんが再発し、その後は放射線治療を受けていたのですが、3年くらい前にはガンの転移が確認され、最近では副腎にも大きながんが確認されました。現在ではピンポイントで放射線治療を実施しているそうです。

 自身のがんは治らないということを受け入れ、死を覚悟したという樹木さんの発言は、賞賛すべきものといえます。というのも、日本ではがんをはじめとする重大疾患に対する社会の理解が乏しく、一部では差別の問題も発生しているからです。

 最近は医学の発達で治療成績も上がってきましたが、がんは基本的に治りにくい病気です。医学の世界では、がんは完治と呼ばず、寛解(かんかい=とりあえず病変が見えなくなった状態)と呼ぶのですが、それは一部のがんを除いて本当の意味で完治させることがなかなかできないからです。

がんの無理解と差別の現実

 しかし、亡くなるギリギリまで体調をコントールしながら、健康な人に近い生活を維持することも十分可能になってきています。日本人の死因のトップはがんであり、3人に1人ががんで亡くなっている現状を考えると、がんは治りにくいという事実を受け入れつつも、社会がそれを認識し、がんと共存していくという姿勢が重要であることが分かります。

 しかし現実はそうではありません。厚生労働省の研究班による調査では、がんに罹患した人の30%が依願退職を余儀なくされ、4%が解雇されたという悲しいデータがあります。こうした事態が起こってしまうのは、病気に対する無理解と「死」というものをむやみに忌み嫌う日本の土着文化が大きく影響していると考えられます。

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最終更新:2016/1/30(土) 2:47
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