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円安で日本の製造業は復活したの?

2013/12/4(水) 10:55配信

THE PAGE

 このところ円安がさらに進んでいます。昨年までは円高が日本の製造業をダメにしているという論調が主流を占めていましたが、ここ1年の円安で製造業の業績は回復したのでしょうか?

 結論から言うと、円安は日本の製造業の収益力向上にはあまり寄与していません。それは日本を代表する大手メーカーの9月中間決算の数字を見れば明らかです。

 トヨタ自動車の売上高は前年同期比で15%増の12兆5375億円、営業利益は前年同期比81%増の1兆2554億円となり、上半期としては過去2番目の水準を記録しました。一方、ホンダは20%の売上増となってはいますが、営業利益率はトヨタほど上昇していません。電機メーカーの代表格であるソニーは12%の増収にとどまり、パナソニックに至ってはほぼ横ばいとなりました。

トヨタとホンダの違い

 しかも興味深いことに、利益率を大幅に拡大したトヨタは販売台数が減少し、利益が増加しなかったホンダは、逆に販売数量が増加しています。販売数量が減っているのにトヨタの売上げが増加しているのは、円安による効果なのですが、利益率が向上しているのは円安とは直接関係なく、同社のコスト削減策が大きく影響しています。トヨタほどコスト削減が実現できなかったホンダは、販売数量が増加したにもかかわらず、あまり利益を拡大できませんでした。

 円安が必ずしも日本企業の利益率拡大に直結しないのは、製造業のグローバル化が進んでいるからです。日本の製造業の多くが海外に生産拠点を持ち、海外で製品を販売しています。円安になれば海外で販売した分の円換算の売上げと利益は増加しますが、利益率が向上するわけではありません。円安で劇的に収益力が改善するのは、日本国内で生産を行い海外に販売している場合に限定されます。

 その証拠に、自動車メーカーとしては珍しく、生産の8割を国内で行い、逆に8割を海外に販売する富士重工の業績は飛躍的に向上しました。同社の利益率は何と2.5倍以上も拡大したのです。ただ同社は、特徴のあるエンジンや車種を売りにするという一種のニッチ・メーカですからこのような国内生産という選択が可能です。

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最終更新:2015/8/17(月) 4:05
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