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「辺野古」移設は何のため? 沖縄駐留を減らす米軍の狙いは

2013/12/6(金) 10:20配信

THE PAGE

 米軍普天間基地の移設問題で自民党沖縄県連は12月1日、これまで掲げてきた「県外移設」の方針を撤回し、辺野古への移設容認を決定しました。辺野古への基地移設問題は日本における長年の政治課題だったわけですが、一方で米軍は沖縄駐留の削減を急ピッチで進めています。そもそも沖縄駐留を削減するのになぜ辺野古に新しく基地を作る必要があるのでしょうか?

【写真】日米合同演習に参加する米空母ジョージワシントン

 その理由を知るためには、米軍がなぜ沖縄に大量の軍隊を駐留させてきたのかについて知る必要があります。沖縄に駐留している米軍の多くは海兵隊です。海兵隊とは、海軍と陸軍の機能を併せ持ったような軍隊で、有事の際の即時対応や上陸作戦の実施などを主な任務としています。沖縄の海兵隊は、朝鮮半島や中国大陸で戦争が起こった場合、真っ先に駆けつける役割を担っています。

海兵隊はグアム移転へ

 米軍は長崎県の佐世保に海軍基地を保有していますが、佐世保には主に揚陸艦隊が常駐しています。有事の際には、佐世保から揚陸艦隊が沖縄に向かい、海兵隊員を乗せて紛争地域に展開。上陸作戦を実施する手はずになっているのです。

 これまで米国は、朝鮮半島有事や中国大陸有事に備えて大量の海兵隊員を沖縄に常駐させていました。しかし最近になって米国はこのやり方をあらため、沖縄の海兵隊を2020年代前半にグアムに移転させることを決定しました。

 その最大の理由は、中国の台頭と技術力の向上です。これまで米国は仮想敵国である旧ソ連と対峙してきましたが、旧ソ連崩壊後は中国が最大の軍事的脅威となっています。しかし、米国は中国のことを完全に敵国とは見なしておらず、交渉相手として認識しています。このため以前のような大量の兵員を沖縄に常駐させておく必要性が薄れました。

 またIT(情報技術)の発達で軍隊のオペレーション能力は近年、めざましい発達を遂げています。大量に軍隊を常駐させなくても、グローバルな兵力展開がより容易になっているのです。従来のヘリに比べて格段に機動力が高い新型輸送機オスプレイを強行配備したのも、こうした技術革新と大きく関係しています。10年間で45兆円もの軍事費を削減するという、米国の歴史始まって以来の大軍縮もこの動きを後押ししているとみてよいでしょう。

前方展開のため最低限の基地

 このように各種の条件が整ったことで、沖縄には兵力を常駐させず、前方展開のための最低限の基地として辺野古を維持したいというのが米軍の要望なのです。

 現在、横須賀基地に配備されている原子力空母ジョージ・ワシントンについても、日本から撤退させようという動きが米軍の一部から出てきています。普天間基地がなくなっても辺野古に基地が建設されるので、沖縄県民の負担はあまり減らないのですが、日本全体という視点で見てみると、日本からの米軍撤退は、静かに、しかし着々と進行しているのです。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/2/17(水) 2:56
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