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<北朝鮮>イチからわかる張成沢事件 なぜ処刑?

2013/12/17(火) 11:42配信

THE PAGE

 北朝鮮ナンバー2であった張成沢(チャン・ソンテク)国防委員会副委員長は2013年12月12日、国家転覆の容疑で死刑が宣告され、その日のうちに刑が執行されました。逮捕されてから数日で死刑となるのは、西側諸国では考えられないことですが、張氏はなぜ逮捕されてしまったのでしょうか?また、北朝鮮ではなぜ処刑というような残酷なことが行われるのでしょうか?

[図]北朝鮮の権力者(張成沢氏の処刑前)

権力闘争に敗れたか

 張氏の罪状は、反党・反革命といった国家転覆容疑に加えて、女性との不適切な関係や賭博などとなっています。おそらくこれは表面上のもので、張成沢氏が処刑された本当の理由は、党内の権力闘争に破れたことにあると考えられています。張氏は、故金正日総書記の妹である金敬姫氏の夫であり、金正日氏の側近を務めた人物です。現在の最高指導者である金正恩第1書記は甥ということになり、金正恩氏が最高指導者に選出された際には、その後見人ともいえる立場でした。

 張氏が具体的にどのような権力闘争に敗れたのかは不明ですが、張氏は有能だが、かなりの野心家であり、非常に傲慢な性格であったという評価が伝えられています。軍部など張氏の権力拡大をよく思わない勢力が張氏を引きずり下ろしたという説や、最高権力者である金正恩氏が張氏の影響力を警戒し排除したという説にはどれも一理あります。

 政治的な権力闘争の相手に対して、失脚させるだけなく命まで奪ってしまうというのは、民主国家の感覚では到底理解することができません。このような残酷な行為が行われてしまう最大の理由は、北朝鮮のような共産国家では、党による独裁が基本となっており、西側諸国のように多様な価値観が存在することが認められていないからです。

一党独裁と「主体思想」

 例えば日本や米国など民主国家では、主権者は国民になりますから、少なくとも建前上は、政府は主権者である国民の意向に従って動くことになります。しかし北朝鮮での主権者は北朝鮮労働党ですから、国家は労働党の意向に従って行動します。北朝鮮労働党は革命によって独裁的に権力を握ることを基本方針としていますから、党の意向と異なる人物や思想は、国家権力を使って強制的に排除するという解釈になるわけです。

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最終更新:2016/2/3(水) 3:00
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