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エクアドルで日本人観光客が被害に遇った「特急誘拐」とは?

2014/1/5(日) 9:00配信

THE PAGE

南米エクアドルのグアヤキルで昨年12月28日、新婚旅行中の日本人夫妻が銃撃される事件が発生しました。夫は死亡し、妻は重傷を負ったものの、一命を取り留めています。2日に記者会見を開いたセラーノ内務大臣は8人組が事件に関与した可能性があるとして、最大10万米ドルの報奨金を出すと発表。市民に情報提供を求めています。地元メディアの報道によると、夫妻は宿泊するホテルの前で流しのタクシーに乗車後、8人組に襲われた模様です。また、タクシーの運転手も犯行に関与した疑惑が浮上しています。

「特急誘拐」とは?

新婚旅行中に事件に巻き込まれた日本人夫妻は、中南米全域で頻繁に発生する「特急誘拐」と呼ばれる強盗に遇った可能性が浮上しています。日本ではほとんど耳にすることのない特急誘拐ですが、メキシコやブラジルでは路上強盗のメジャーな手口の1つとして認識されています。エクアドルでもグアヤキルだけで少なくとも510件の特急誘拐が2012年に発生しており、その7割が18時以降に発生したというデータもあります。あまりにも日常茶飯事な強盗事件のため、2005年にはベネズエラで特急誘拐をテーマにした映画が製作されたことも。

「特急誘拐」は、英語で「Express Kidnapping」、スペイン語では「Secuestro Expre's」と言います。手口ですが、地元の富裕層や観光客が一時的に拉致され、その場で家族に連絡をとり身代金を要求したり、拉致した被害者にATMで現金を引き出すように強要したりして、短時間で犯行を終わらせるのが特徴です。犯行時間の短さから、「Paseo Millonario(金持ちとの散歩)」というスラングもあるほどで、特急誘拐専門の犯罪組織も少なくありません。今回の事件が発生したグアヤキル周辺だけでも、昨年だけで200近くの特急誘拐組織が警察によって摘発され、解散に追い込まれています。

南米諸国を悩ます凶悪犯罪の多発

エクアドルの人口は約1400万。人口規模でいえば南米で7番目の大きさです。ベネズエラやブラジルの陰に隠れがちですが、エクアドルの治安もお世辞にもいいとは言えません。国連薬物犯罪事務所の調べでは、2012年にエクアドルで発生した殺人事件は2638件。10万人当たりの発生率で考えた場合、実に日本の45倍以上の高さになります。前出のセラーノ大臣の弟も2012年に殺害されており、容疑者は現在まで特定されていません。エクアドル国内では組織犯罪の撲滅に積極的な大臣に対する報復であった可能性が高いと報じられています。

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最終更新:2016/2/16(火) 4:06
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