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長期金利がじわじわ上昇、景気回復のサイン? それともインフレ?

2014/1/9(木) 11:00配信

THE PAGE

 日銀による量的緩和の開始以降、長期金利の低下が進んでいましたが、昨年末からその長期金利がジワジワと上昇を始めています。金利の上昇は果たして何を意味しているのでしょうか?

 日本の長期金利(10年物国債の利回り)は、日銀による量的緩和以降、一貫して低下してきました。量的緩和の開始直後0.9%になった金利はその後0.6%まで一本調子で下落しています。金利は、長期的にはその国の経済成長率と同じ水準になることが知られています。金利が下がっているということは、今後も不景気が続くということを意味しています。

2013年11月を境に上昇

 しかし金利が下がればお金を借りやすくなりますから、これをきっかけに企業の融資が増える可能性があり、そうなれば景気反転のきかっけとなります。量的緩和の推進で金利が下がることは、日銀にとっても狙い通りだったわけです。しかし昨年の11月を境にその金利が上昇に転じています。ポジティブに評価すれば、日本経済が回復に向かい始めたことの兆候ということになりますが、事はそう単純ではありません。

 経済成長には名目と実質の2種類があり、実際に生活が豊かになるのは、名目ではなく実質成長率にかかっています。実質成長率は名目成長率から物価上昇分を差し引いて求められます。いくら名目経済が成長しても同じ分だけ物価が上がってしまえば、実質的な成長はゼロとみなされます。これは生活実感でも当てはまることですが、給料が1割上がったとしても、同じように物価が1割上がってしまえば、実質的に豊かになったとはいえません。

 先ほど金利は経済成長率に比例すると書きましたが、これはあくまでも名目上の話です。名目上の経済が成長すれば、その分、金利も上がりますが、これが実質的な成長の兆候であるとは限らないのです。

経済成長というよりインフレの兆候

 日銀の量的緩和は円安をもたらし、一部の輸出企業の業績を改善させました。しかし一方で円安は輸入物価の上昇を招いており、最新の消費者物価指数では物価上昇率は1.2%となっています。ここ2カ月で金利が上昇したとはいえ、こちらはまだ0.7%台という水準です。金利の上昇よりも物価の上昇の方が大きいわけですから、実質的に金利はマイナスということになります。

 実質的な金利がマイナスということは、実質的な経済成長が乏しいことを示唆していると考えるべきでしょう。実際、政府が予測している2014年度の実質経済成長率は1.4%となっており、2013年度の2.6%から大幅に下落する見込みです。金利が上昇しているのは、あくまで物価が上がっているからであり、経済が順調に成長しているからではありません。今回の金利上昇は、むしろインフレが進んでいることのサインとして認識すべきでしょう。

(大和田 崇/The Capital Tribune Japan編集長)

最終更新:2016/1/27(水) 3:40
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