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経団連がベア容認、給料の格差どうなる?

2014/1/17(金) 10:40配信

THE PAGE

 大企業を中心に賃上げの動きが活発化してきています。賃上げが実施された場合、日本経済にはどのような影響があるのでしょうか?また私たちの暮らしはよくなるのでしょうか?

[図表]消費増税後の可処分所得は?

 経団連は2014年1月15日、今年の春闘において6年ぶりにベースアップを容認する方向性を打ち出しました。自動車メーカーや金融機関など、業績が好調な業種では賃上げが検討されていましたが、経団連がはっきりとベア容認を打ち出したことで、賃上げの動きが他の業種にも波及してくることが考えられます。

インフレが加速する?

 安倍政権は大型の公共事業を次々に打ち出しており、そのおかげで景気はある程度拡大しています。しかし公共事業によって企業が儲かっているだけでは継続的な景気の拡大は望めません。GDPの6割は個人消費が占めていますから、賃上げという形で消費者の懐が潤わないと経済は拡大しないのです。安倍政権が企業に対して賃上げを強く要請しているのはこのためです。

 では、とにかく労働者の賃金を上げればよいのかというと、そういうわけではありません。賃上げには弊害もあるからです。企業の経営に余裕がない状態で賃上げをしてしまうと、企業の利益は大きく減少することになります。多くの企業がそれをカバーしようと値上げを実施することになりますから、物価上昇の引き金を引いてしまう可能性があるのです。

 あまり実感が湧きませんが、日本はすでにデフレではなくインフレになりつつあります。11月の消費者物価指数(コア指数)は1.2%の上昇となっており、先進国の中でも高いインフレ率です。継続的な景気拡大に伴うインフレであれば問題ないのですが、現在のインフレは円安による輸入価格上昇が主な要因です。こうしたところに賃上げが重なると、物価上昇を加速させてしまうかもしれません。

大企業と中小企業の社員、格差拡大か

 もっとも現実には、そうはならない可能性の方が高いと考えられます。というのも好業績を謳歌しているのは大企業がほとんどで、すべての企業で賃上げを実施するほどの余裕はないからです。資本金10億円以上の大企業の利益率はここ1年で1.5倍に拡大しましたが、資本金1000万円から2000万円の中小企業では横ばい、特に製造業ではマイナスとなっています。残念ながらのすべての国民が賃上げの恩恵を受けることは難しい状況といえそうです。

 結果的に賃上げは好業績を謳歌している一部の大企業にとどまり、インフレを加速させることにはならなさそうです。その代わり、賃上げの恩恵を受けられる大企業の社員と中小企業の社員との間での経済格差はより拡大することになるでしょう。

(大和田 崇/The Capital Tribune Japan編集長)

最終更新:2016/1/27(水) 2:56
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