ここから本文です

外国人労働者受け入れ拡大か その背景と問題は?

2014/1/30(木) 21:00配信

THE PAGE

 政府は2020年の東京オリンピック開催に伴い、建設業を中心に外国人労働者の受け入れ拡大について検討を開始しました。1月24日には関係閣僚会議を開き、来年春をめどに、時限的な受入拡大措置を実施することを確認しました。

増える留学生の日本就職 外国人採用を進めるべきか

 建設業に従事する労働者の数は現在約510万人となっており、ピーク時の1997年と比較すると約25%、数にして170万人ほど減少しています。しかし、震災復興特需で建設案件が増大したことに加えて、安倍政権が発足してから大型の公共事業が相次いだことで、建設労働者不足が深刻になっています。この状態にオリンピック特需が加わるわけですから、人手不足はより深刻になっています。政府はこうした事態の打開に向けて、技能労働者を中心に外国人の受け入れ拡大を進めようとしているわけです。

 しかしながら外国人建設労働者の受け入れ拡大には否定的な人も少なくありません。確かに減少したとはいえ、以前は多くの日本人建設労働者がいたわけですから、彼等が現場復帰する、あるいは、今、職を探している人を建設労働者として斡旋するといった措置で対応できるのではないかと考える人もいます。しかしながら、建設現場の実態を考えるとそれもなかなか難しいというのが現状です。

 建設現場における熟練労働者を短期間で養成することは困難です。また一旦現場を離れてしまうと復帰することはなかなか容易ではないといわれています。かつて現役で働いていた建設労働者も高齢化が進み、体力的に難しいという人も少なくないのです。

 問題はそれだけではありません。公共事業の単価が下がってきた影響で労働者に支払われる賃金も安くなってきており、労働者にとってあまり魅力的な仕事ではなくなっているという現実もあります。建設工事の場合、元請け企業の下に何社もの下請け企業が入るケースが多く、そのたびに利益が抜かれていきます。単価が高いうちはよいのですが、単価が安くなってしまうとそのシワ寄せが末端の労働者に向かってしまうわけです。

宮城県内に住む元建設作業員は、神戸の震災の時は長期の出稼ぎにいったものの、2011年の東日本大震災の時には、地元が被災したにも関わらず、仕事の声がかかっても参加しなかったそうです。その理由は「賃金があまりにも安かったから」です。

 東京オリンピックの開催を控え、建設労働者が不足しているというのは事実です。しかし、公共事業への政府による過剰支出や建設業界の受発注体制など、別な要因で建設作業員が不足しているという面も否めません。日本の高度成長はとっくに終了しており、資本ストックの減少が始まっています。新規建設から維持管理へという時代の流れの中で、短期間だけ膨大な建設特需を発生させるとこのように無理が生じます。現状のインフラをいかに活用するのかという視点でオリンピック対応を進めていくことも必要でしょう。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/1/30(土) 3:35
THE PAGE

Yahoo!ニュースからのお知らせ