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ウクライナで政権崩壊 経済的な背景は?

2014/2/25(火) 14:00配信

THE PAGE

 反政権デモ隊と治安部隊の大規模な衝突が発生したウクライナでは、国会が親ロシア派のヤヌコビッチ大統領を解任したことで、同政権は事実上崩壊しました。かつては旧ソ連に属していたウクライナに今、何が起こっているのでしょうか?

ウクライナ反政府デモ、なぜもめてるの?

 ウクライナはロシア革命の直後、旧ソ連に組み込まれ、以後、旧ソ連の主要な構成国の一つとして存在してきました。ウクライナは東部に工業地帯、西部に穀倉地帯を持ち、旧ソ連の中でも重要な国とみなされていました。このため、旧ソ連に属していながら独自で国連に加盟するなど、特別な地位を与えられていたのです。ちなみに1986年に大事故を起こしたチェルノブイリ原発もウクライナにあります。

 1991年のソ連崩壊によって、ウクライナはロシアが主導するCIS(独立国家共同体)のメンバーとなりました。しかし、もともと好んで旧ソ連のメンバーになったわけではありませんから、国内ではロシアではなく、欧州に接近し、EU(欧州連合)加盟を目指すべきという声も大きくなってきました。2005年に一度は親欧州派の政権が誕生しますが、ロシアはウクライナに供給している天然ガスの価格を大幅に引き上げると脅しをかけ、2010年には親ロシア派で強権的なヤヌコビッチ政権が誕生。今回の退陣まで同政権が続いていたわけです。

 今回の反政権デモと政権側の対立も、2013年にヤヌコビッチ政権がEUとの貿易協定締結を見送ったことがきっかけとなっており、基本的には親欧州か親ロシアかという対立構造が軸になっています。

 ウクライナは農業と工業という産業を持っていますが、自国に大きな市場はありません。このため、どこか大きな経済圏に属さなければ経済を成り立たせることができない構造になっています。ウクライナのGDPは約18兆円ですが、隣接するEU経済圏は1700兆円もあります。これに対してロシアのGDPは210兆円と小さく、数字だけを見ればEUに加盟した方が得な印象も受けます。

 しかしウクライナの工業は、以前からロシア企業との関係が深く、エネルギーもロシアに依存しています。このため、工業地帯が多い東部では、必ずしもロシアが好きなわけではありませんが、現実的な問題としてロシアとの関係維持を求めているわけです。

 一方、西部の人たちの中には、親欧州派で純粋な民主主義者もいますが、極右的な反ロシア派という人も少なくありません。他国の極右政党と同様、彼等はグローバリズムをあまり快く思っていませんから、EUと手を組んだからといって、すべての問題が解決するとは限りません。

 このように表面的には親欧州対親ロシアという構図になっているウクライナ情勢ですが、内実はもう少し複雑です。とりあえず内戦という最悪の事態は避けられましたが、同国の新しい政権が安定的に推移できるのかは、まだ不透明な状況といってよいでしょう。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2015/8/22(土) 4:12
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