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2014年は賃上げされる? それとも?──2013年賃金構造基本統計調査

2014/2/25(火) 18:00配信

THE PAGE

 安倍政権が産業界に対して強く賃上げを求めてきたことにより、今年は賃上げが実施される可能性が高くなってきました。しかし足元の賃金調査結果を見ると手放しで喜ぶのはまだ早そうです。正規社員・非正規社員の問題が解決しないと、賃金上昇が思うように進まない可能性が見えてきているからです。

 厚生労働省は2014年2月20日、2013年賃金構造基本統計調査の結果を発表しました。フルタイムで働く労働者の月額賃金は2012年との比較で0.7%減少し29万5700円となりました。これは昨年の実績ですから、今年は賃上げになるので安心してよいかというとそうではありません。それは賃金が減少した理由が単純な賃下げだけではないからです。

 2013年の賃金が低下した理由の一つとして大きいのが、非正規労働者の増加です。日本では正規社員と非正規社員の賃金に大きな格差があります。昨年の正社員の平均賃金は31万4700円でしたが、非正規社員の賃金は19万5300円とかなり低くなっています。もし賃上げが実施されても、高い給料をもらっていた正社員が減り、低い給料の非正規社員が増加してしまうと、全体の賃金は上がらなくなってしまうわけです。実際、2012年から2013年にかけて正社員の数は46万人減少したのに対して、非正規社員の数は逆に93万人も増加しています。

 これは男女格差についても同じようなことがいえます。2013年の男性の賃金は32万6000円ですが、女性の賃金は23万3000円とかなり低くなっています。これは男性の方が主要業務に従事し、女性が補助的な業務に従事していることが大きく影響していると考えられます。男性の正規社員の数は2267万人ですが、女性の数は1027万人です。今後、就業者として増加してくる割合が大きいのは女性ですから、これも全体的な賃金の低下を引き起こすことになります。もっとも完全に男女平等にすると、男性の給料が大きく下がる可能性もありますから、事情はもう少し複雑になるかもしれません。

 日本はデフレによって、賃金が長期にわたって上がらないという状況が続いていました。賃金を政府主導で上げることについては様々な意見がありますが、とりあえず賃上げを実施すれば、個人消費をある程度刺激するという効果は得られるでしょう。しかし日本には賃金の絶対額という問題だけでなく、同じ仕事でも雇用形態が異なると賃金も異なるという労働市場の歪みという問題も存在しています。こうした労働市場の歪みをなくす政策を同時に進めていかないと、せっかく賃上げを実施しても、全体的な効果が半減するという事態になってしまう可能性があります。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2015/11/12(木) 2:39
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