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3月から政府が大企業にもリストラ促進 潤うのは斡旋業者だけ?

2014/2/27(木) 17:00配信

THE PAGE

 社員を転職させる企業に国が支援金を出す「労働移動支援助成金」が2014年3月から拡充されます。金銭的に余裕がない中小企業やこれまで制度の枠外だった大企業でも社員の転職支援が進む可能性がありますが、リストラを助長するだけとの声もあります。支援金の拡充にはどういった影響があるのでしょうか?

 これまでの支援制度は基本的に中小企業向けのものでしたが、新制度ではこの対象範囲が大企業にも広がります。また支援金の額も増額されることになりました。これまで社員に転職活動を促す場合には、人材会社に支払う転職支援費用の半額が助成されてきましたが、新しい制度では、費用の3分の2まで助成されることになります。

 また助成のタイミングについても、これまでは転職が実現した時だけが対象だったのですが、今後は支援を委託した段階での受け取りが可能となります。企業は、社員の転職がうまくいくか分からない段階でも、人材会社に転職支援を委託することができるようになるわけです。また社員が転職活動をするために休暇を取った場合には、その分についても助成する仕組みも加えられました。

 一連の制度は、業績が悪く、人が余っている業界に人員整理を促し、人手不足となっている「成長産業」に労働者をシフトさせることを目的としています。支援の対象企業や金額を拡大することで、より多くの人材を成長分野に移動させようというわけです。

 日本では、実際に解雇される労働者はそれほど多くありません。リーマンショック後の2009年には月あたり160万人まで増加したことがありましたが、その後は一貫して減り続けており、現在では月あたり80万人前後となっています。この数字は、リーマンショック前の好景気の時代とほぼ同じ水準です(社内失業などの問題はありますが……)。その理由としては、日本では賃金よりも雇用の維持が優先されてきたことや、安倍政権になってからは、大型の公共事業が続いたことで求人自体が増えていることなどがあります。

 このような中で、リストラ支援策を拡充するのは、相対的に過剰といわれるホワイトカラーの余剰人員を減らそうという意図があると考えられます。日本企業におけるホワイトカラーの生産性は先進諸外国に比べて低いといわれていますが、その原因の一つとして考えられているのが、社員数の多さというわけです。ホワイトカラーについても、成長分野の企業に振り分けることで、全体の生産性を向上させることが可能となります。

 ただ、日本の労働市場はかなり硬直化しており、中高年の転職はなかなか難しいという現実もあります。また思ったほど成長分野は生まれておらず、実際には行き場がないというケースも少なくありません。結局は転職支援を行う人材会社だけが得をして、労働力のシフトはあまり進まないという状況になってしまう可能性もあります。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/2/24(水) 3:22
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