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消費者物価、落ち着く。理由は円安が一服したから?

2014/3/4(火) 17:15配信

THE PAGE

 これまで順調に上昇してきた物価ですが、円安が一服したことで、そのペースが鈍化してきています。果たしてデフレ脱却は可能なのでしょうか?

 総務省は先月28日、2014年1月の消費者物価指数を発表しました。代表的な指標である「生鮮食品を除く総合(コア指数)」は前年同月比でプラス1.3%と先月に引き続いて上昇したほか、「食料及びエネルギーを除く総合(コアコア指数)」についても0.7%の上昇となりました。しかし上昇幅はいずれも先月と同じ水準にとどまっており、上昇ペースに鈍化が見られます。

 アベノミクスがスタートして以降、物価は着実に上昇してきました。ただその物価上昇が何によって引き起こされているのかについては様々な意見があります。確かに国内では超大型の公共事業が実施されており、それをきっかけに設備投資を増やす企業も出てきています。内需拡大にともなって物価が上昇した面は確かにあると考えられます。しかし、ここ1年で物価上昇率が高いのは、電気料金、AV機器、衣類、旅行代金など、為替の影響を大きく受けるものがほとんどです。円安の進展で輸入物価が上昇し、その価格転嫁が他の品目にも及んできたことで、全体的な物価上昇が進んだと考えるのが自然でしょう。

 実際、円安の進展が一服した昨年後半以降、物価上昇の伸びは鈍化の兆しを見せています。今年は消費税の増税もあり、景気の落ち込みが懸念されていますから、このまま為替に大きな変動がなければ、物価が横ばいになる可能性も十分にあります。

 そうなってくると焦点となるのはやはり日銀による追加緩和と賃上げということになります。市場関係者の多くは、近いうちに日銀が追加の量的緩和に踏み切ると見ています。追加の量的緩和が実施されれば、基本的には円安、株高となり、再び物価上昇が進むことになるかもしれません。しかし新興国問題やウクライナ情勢など、世界経済には不安定要因も多く、追加の量的緩和がうまく機能しない可能性もあります。また賃上げについても、業績好調な大企業は実施される可能性が高いですが、中小企業の社員や非正規社員は、あまりその恩恵を受けられません。経済全体への波及効果は限定的となるでしょう。

 インフレの進展は実質金利を低下させ、設備投資や消費を増加させる効果があるといわれていますが、一方で行き過ぎれば消費者の不満を誘発する危険性もあります。また産業界の一部からは過度の円安を警戒する声も上がってきています。とりあえずデフレスパイラルからの脱却は実現できましたが、今後はどの程度のインフレが経済全体にとって望ましいのか、難しい判断を迫られそうです。


(大和田 崇/The Capital Tribune Japan編集長)

最終更新:2014/11/19(水) 3:22
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