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日本テレビHulu買収はテレビ局の守りか?

2014/3/4(火) 18:17配信

THE PAGE

 日本テレビ放送網は2014年2月28日、動画配信サービス「Hulu」の日本市場向け事業を買収すると発表しました。これは何を意味しているのでしょうか?

 Huluは米国の動画配信サービス企業で、日本では月額980円でインターネットを通じて1万本以上の映画やドラマが見放題というサービスを提供しています。米国では現在、定額制のインターネット動画配信サービスが急拡大しています。テレビでドラマや映画を見るより、こうしたネット配信サービスを使って好きなときに好きな作品を見るという生活がむしろ当たり前になりつつあります。しかしHuluは米国のシェア争いでは劣勢に立たされています。せっかく進出した日本市場ですが、売却資金を元に本国での競争に集中したいという事情があるようです。

 一方、日テレがHuluの日本事業を買収した事情については様々な見解があります。米国とは異なり、日本では有料の動画配信サービスはまだあまり普及しているとは言い難い状況です。Huluは米国の会社ですから、基本的には海外ドラマがコンテンツの中心となっています。日本で海外ドラマを見る層は一定数存在していますが、市場全体から見ればごくわずかであり、日本市場で本格的に展開するためには、日本国内のコンテンツを取り揃える必要があります。Huluは魅力的な価格で話題にはなっていましたが、決定打に欠けるという状態だったといえるでしょう。

 しかし日テレにしてみれば、一定数の顧客を持ったHuluの事業にはそれなりの魅力があります。ゼロから新しい事業を始めるよりも、買収によって時間を買うことができるからです。そうだとすると日テレは、国内でもインターネットの動画サービスが一気に立ち上がってくることを予測している可能性があります。市場が急拡大する前に、ある程度のシェアを押さえておきたいというわけです。

 米国では規制緩和によって従来型のテレビ局はほとんど姿を消していますが、日本のテレビ局は依然として独占状態が続いています。インターネットの動画配信サービスはこうしたテレビ局の独占構造を崩す可能性がありますから、テレビ局にとっては警戒すべき存在です。日本では優良コンテンツの多くをテレビ局が握っていますから、新しい配信チャネルさえ押さえておけば、従来の立場を維持できるというわけです。

 日テレは今年1月に玩具大手タカラトミー傘下のアニメ制作会社タツノコプロを買収しています。タツノコプロは「ガッチャマン」や「ヤッターマン」など幅広い年齢層にアピールできるコンテンツを揃えています。今後はテレビ局によるコンテンツの囲い込みや配信チャネルの影響力確保といった動きが加速してくるかもしれません。

(大和田 崇/The Capital Tribune Japan編集長)

最終更新:2015/2/14(土) 3:59
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