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日本の輸出が伸びないワケ

2014/3/5(水) 12:00配信

THE PAGE

 円安にも関わらず輸出が思いのほか伸びないことが指摘されていますが、その原因の一つは製造業の海外生産シフトにありそうです。

 内閣府がまとめた2013年度の企業行動に関するアンケート調査によると、日本メーカーの生産額に占める海外比率は、2012年度実績で20.6%と過去最高水準を記録しました。今後はさらにその比率が上昇し、2018年には25.5%に達する見通しとなっています。

 製造業は国際的なコスト競争に巻き込まれており、国内で生産し、海外に輸出するというモデルは成立しなくなりつつあります。現在ではアジアで部品を調達して現地生産を行い、それを日本に輸入したり、米国に輸出するというビジネス形態が主流になっています。1992年における現地生産比率はわずか5.4%でしたから、この20年で製造業のグローバル化が一気に進んだことが分かります。

 生産拠点が海外に移るたびに日本からの輸出は減り、日本への輸入は増加しますから、円安になっても輸出が増えないのはある意味で当然のことなのです。

 産業は基本的に経済合理性に沿って動きます。日本で生産するよりも海外で生産した方が得であれば、企業は生産拠点の海外進出を進めていきます。国内では輸出を増やして貿易収支を改善させるべきだという声も聞かれますが、このような状況で無理に輸出を増やしてもうまくいかない可能性が高いでしょう。

 輸出立国という点ではドイツがよく引き合いに出されます。確かにドイツは日本や米国とは異なり、成熟した先進国でありながら、工業製品の国際競争力を維持し、巨額の貿易黒字を計上しています。ただドイツの製造業は、徹底した高付加価値主義であり、儲からない企業は容赦なく切り捨てた結果として現在の地位があります(ドイツの企業倒産率は弱肉強食の米国より高いといわれています)。

ドイツでは、中小企業が直接、外国に自社製品を売り込むこともめずらしくありません。多くが大企業の下請けとなっている日本とは競争環境がまったく異なっているのです。また東欧から大量の移民を受け入れており、低賃金労働のほとんどを移民が担っています。EUという巨大な自由貿易圏に属していることや、英語への取り組みが真剣であり、英語の通用率が極めて高いといった条件もプラスに作用しているでしょう。

 つまりドイツも徹底した市場原理主義であり、米国とはその形態が異なっているだけなのです。日本がこれからも、ものづくり大国として生きていくのであれば、ドイツのような高付加価値型にシフトするか、生産拠点を海外に移していくしか方法はありません。海外移転で失われる雇用は、国内産業を活性化し吸収していくことが重要となります。

(大和田 崇/The Capital Tribune Japan編集長)

最終更新:2014/11/10(月) 3:55
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