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STAP細胞論文疑惑、どう考えるべき?

2014/3/11(火) 20:27配信

THE PAGE

 新型万能細胞である「STAP細胞」の論文について不自然な点があると指摘されている問題で、共同研究者である若山照彦山梨大学教授が論文の撤回を求める状況となりました。このような事態を私たちはどう理解すればよいのでしょうか?

 今回のSTAP細胞の研究は、理化学研究所の小保方晴子研究ユニットリーダーを中心とする複数の研究者によって行われてきました。この研究は、従来、大変な手間と労力をかけなければ作ることができないといわれていた万能細胞を、酸に浸すだけで作ることができるという、本当であれば非常に画期的なものです。

 一連の研究の中で若山氏は、小保方氏が作成した万能細胞を検証する役割を担っていました。若山氏は小保方氏が作成したとされている万能細胞を受け取り、実際にその細胞を利用可能な状態にできるかどうか(樹立)を実験で検証していたわけです。若山氏にしてみれば、小保方氏の成果が真実であることを前提に検証作業をすることになりますから、根本的な部分に疑義が生じている以上、論文を撤回した方がよいと主張しているわけです。

 一方、論文の共同執筆者でハーバード大学のチャールズ・バカンティ教授は、米紙の取材に対し「取り下げるべき理由はない。ミスはあったが、結論に影響するものではない」と述べています。この件については中心人物である小保方氏からの正式なコメントがないので、まだ何とも言えない状況が続いています。

 小保方氏の論文については、擁護するものから、捏造あるいは盗作であるとするものまで様々な意見が出ているようですが、基本的には、あまり結論を急がず冷静に対処するというのが賢明といえるでしょう。科学的研究の分野では、その成果の白黒について、何年間も決着がつかないというケースは珍しいことではありません。

 最終的には多くの研究者が追試(第三者がその真偽を確かめる作業)をすることで、コンセンサスが得られてくるものだからです。仮にミスあるいは捏造だったとしても、いつかははっきりすることですし、そうでなければ、いずれ追試に成功するケースが出てくることになります。研究者本人が意図を持って結果を捏造したと公表する事態にならない限りは、何が正しいのか、あるいは捏造なのかどうかを急いで議論してもあまり意味はないと考えられます。

 ただ、STAP細胞については、もしこれが本当だとすると、従来の研究努力や予算が水の泡になってしまう可能性があります。社会的なインパクトがあまりにも大きく、いろいろと波紋を呼ぶ結果になってしまったのはある程度やむを得ないことなのかもしれません。

 1980年代の後半、常温核融合に関する論文が発表されたときも、同じような状況でした。多額の予算と人員をかけても実現できなかった核融合が、水を電気分解するだけでできてしまうという内容に関係者は大変なショックを受けました。結局、追試が何度も行われ、目立った成果が出てこないことから、現在では工業的に利用可能な常温核融合は不可能というのがコンセンサスになっています。しかし最終的な結論が得られるまでには数年の歳月を要しています。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/1/31(日) 4:45
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