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安倍首相が見直し進める「武器輸出三原則」とは?

2014/3/12(水) 14:00配信

THE PAGE

 安倍政権が「武器輸出三原則」の見直しを進めています。武器輸出三原則とは、日本製の武器や関連技術の輸出を原則禁止するもので、憲法と並んで“平和国家”日本を象徴する政策ともいわれてきました。しかし政府は今回、この原則を一定の条件のもとで大幅に緩和、武器輸出を容認する新しい原則を3月中にも閣議決定するとしています。これまでの政府方針を転換するわけですが、あらためて武器輸出三原則とはどういうものなのでしょうか。

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当初は「国際紛争の当事国」など対象

 武器輸出の禁止は、日本製の武器が海外の戦争に使われることで、日本が国際紛争などを助長しないようにするためのものです。背景にあったのは米国とソ連の対立を中心とした「東西冷戦」で、1967年に佐藤栄作首相が(1)共産圏(2)国連安保理決議によって武器輸出が禁止されている国(3)国際紛争の当事国、またはその恐れのある国――の3つのケースでの武器輸出禁止を国会で答弁したのが始まりです。さらに、76年には三木武夫首相が3つの対象地域以外についても「武器の輸出を慎む」と原則禁止にしました。この方針は法律で規定されていませんが、三木首相の答弁は政府の「統一見解」とされ、歴代政権によって引き継がれてきました。

 ただし、それ以前の日本が自由に武器輸出をしていたわけではありません。

 じつは日本は戦後の早い時期から、外国為替法や外国貿易法、輸出貿易管理令などによって海外への輸出を管理していて、武器を輸出するさいは通商産業大臣(現在の経済産業大臣)の許可が必要でした。67年の佐藤首相の答弁は、こうした通産省内の武器輸出の判断基準を説明したもので、新しい方針を表明したわけではなかったといわれています。しかし、国会で首相の口から説明されたことで政府全体の方針と位置づけられ、このとき以降、「武器輸出三原則」として定着していったのです。

 では、その原則をなぜいま見直すのでしょうか。

なぜ「三原則」を見直すのか

 ひとつには米国をはじめとする友好国との武器の共同開発・生産に参加するためです。最先端の軍事技術は多国間で共同開発されることが多いのですが、現行の方針のままでは基本的に日本は共同開発に加わることができません。すでに安倍政権は、昨年3月に武器輸出三原則の例外としてF-35戦闘機の部品製造に日本の企業が参加することを決めていて、今後は英国との化学防護服の共同開発なども予定しています。こうした共同開発により高いレベルの技術共有が可能になるともいわれているのです。電子レンジやパソコン、カーナビなどをはじめ、軍事技術は民生品に転用されることがあり、日本の産業界の活性化につながるという声もあります。

 また、防衛装備品のコストを削減したいとの思惑もあるようです。これまで自衛隊の防衛装備品は国内生産か輸入のどちらかに限られたため、開発コストが割高になっていました。武器輸出が容認されると量産化できるうえ、共同開発によるコスト削減も見込めます。産業界からは防衛装備品の品質向上につながるとの声も出ています。

見直しによるデメリットは

 もっとも、見直しによるデメリットも少なくありません。一番心配されるのは、日本が共同開発した武器が戦場で使われて、これまで築き上げてきた「平和国家」というイメージに傷がつくことです。実際、日本が共同開発するF-35戦闘機はイスラエルにも配備される見込みで、そうなると日本とアラブ諸国との友好関係に影響が出る恐れもあります。武器輸出三原則はどこまで緩和されるのか、本当に紛争当事国に渡らないようにできるのか、そもそも本当に見直しが必要なのか。政府・与党の議論に注目したいと思います。
 
(真屋キヨシ/清談社)

最終更新:2015/12/20(日) 3:58
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