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人民元変動幅2%に拡大ってどういうこと?

2014/3/20(木) 7:00配信

THE PAGE

 中国の中央銀行に当たる中国人民銀行は2014年3月15日、人民元のドルに対する為替レートの1日の変動幅を現在の1%から2%に拡大すると発表しました。これは何を意味しているのでしょうか?

 人民元の為替は現在のところ中国政府の管理下にあります。自由に取引することはできますが、人民元の変動幅には1日あたりの制限が設けられており、その範囲でしか為替レートは変動しません。これまでの制限幅はプラスマイナス1%でしたが、17日の取引からはプラスマイナス2%まで拡大されています。

 中国が人民元の変動幅を拡大した背景には、人民元の自由化を求める米国の圧力があります。米国は中国政府が人民元を経済水準と比べて割安に設定していると見なしており、その是正を求めています。これはかつてドイツマルクや日本円が不当に安い水準で固定されていると批判し、通貨高を要求してきた経緯と似ています。実際、中国経済の規模はすでに日本の2倍近くの水準があり、米国の半分を超える状況です。現在の水準よりも人民元が高くなるのは妥当なことといってよいでしょう。

 当の中国政府はまったく逆のことを考えています。これまで中国経済は破竹の勢いでしたから、中国側も経済規模の拡大に伴って人民元の価値が上がることは自然な流れと考えていました。通貨の価値が上がれば自国の輸出企業は不利になりますが、かつての日本と同じように、付加価値の高い産業にシフトすることで、それを克服すべきと考えていたのです。つまり中国は、自らが大国になる意思があったわけです。

 しかし最近の中国経済の失速で少し状況が変わってきました。長期的には人民元が上昇するという見通しに変わりはありませんが、短期的には景気対策という意味でむしろ人民元安を望んでいるのです。人民元を安く誘導できれば、苦境に陥っている中国の製造業をある程度支援することができます。中国としては、人民元高を望む米国の要求に応えるフリをしながら、人民元安に誘導していく可能性があります。実際、変動幅の拡大を発表して以降、人民元は下落しています。

 中国の為替政策は諸刃の剣です。中国の製造業は低付加価値な製品が多いことから、日本に比べて為替切り下げによる輸出拡大効果は大きいと考えられます。しかし人民元安は輸入物価の上昇につながり、ただでさえ激しいインフレをさらに加速する可能性があります。為替を切り下げたものの、輸出は増えず、輸入物価だけが上昇するという、現在の日本のような状況にもなりかねません。中国は世界経済全体のバランスと、当面の自国経済の立て直しというジレンマの中で難しい選択を迫られることになります。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2015/8/15(土) 4:30
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