ここから本文です

春闘で本当に賃上げされたのか?

2014/3/26(水) 11:32配信

THE PAGE

 今年の春闘は、安倍政権による異例の賃上げ要請が行われたことで、これまでにない注目を集めました。私たちの賃金は果たして上がったのでしょうか?

 連合では今回の春闘において、平均賃金方式で6491円、率にして2.16%の賃上げが実現できたとしています(3月14日時点)。もっとも企業側は、すべての従業員の給与が恒常的に増加するベースアップには慎重な姿勢を崩さず、好調といわれる自動車業界でも明暗が分かれました。日産のように満額回答となった企業もあれば、スズキのように一部社員を除いて実質的にベアが見送られた会社もあります。

 春闘において大々的に賃上げ交渉をするのは大企業の正社員ですから、中堅・中小企業の社員や非正規社員の中には、賃上げには無縁という人も大勢います。日本の労働者のうち会社に雇用されている人は5500万人ほどですが、このうち社員数500人以上の会社に勤めている人はわずか1400万人しかいません。2%以上の賃上げが実現できたという話は、ごく一部の正社員に限定される話ですから、全体としてみれば賃上げレベルは1%に満たないと考えた方がよさそうです。また正社員の数が年々減少し、非正規社員の数が増えていますから、労働者の平均賃金には常にマイナスの圧力がかかっていることも忘れてはなりません。

 さらに、現在の日本の労働者にとってはインフレというやっかいな問題もあります。日銀は昨年4月以降、大規模な量的緩和策を実施しており、日銀が金融機関に提供するマネーの額はここ1年で約1.5倍に拡大しました。この影響で為替は円安となり、輸入品を中心に物価が上昇に転じ始めています。デフレ脱却という点では物価が上がるのはよいことなのですが、賃金が上がらず物価だけが上昇すると、労働者の生活は苦しくなります。

 円安に歩調を合わせるように、国内の消費者物価指数はここ1年で約1.3%上昇しています(コア指数)。これには生鮮食料品が含まれていませんから、実際にはもう少し物価が上がっていると考えてよいでしょう。1.3%の物価上昇に対して、賃上げは1%以下という状況ですから、実質的には賃下げだったということになります。

 物価上昇に賃金の上昇が追い付かない状況については、様々な解釈があります。賃金が上昇しないと、国民の購買力が増えず、個人消費が低迷して景気が回復しないという考え方もありますが、一方で、物価上昇と同じだけ賃金が上がってしまうと、かえってインフレを加速させるとの見解もあります。いずれにせよ、現状においては、大多数の国民にとって生活がラクになったという状況にはなっていないようです。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2015/7/7(火) 4:23
THE PAGE