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日銀・異次元緩和から1年、どう評価する?

2014/4/4(金) 7:00配信

THE PAGE

 日銀が異次元の量的緩和を実施してから、4日でちょうど1年となります。はたして量的緩和策は効果があったのでしょうか?

 日銀は昨年4月の金融政策決定会合において、2%の物価目標を実現するため、大量の資金を市場に供給する量的緩和策の開始を決定しました。その結果、量的緩和が始まる直前には135兆円程度であったマネタリーベース(日銀が供給する通貨の総量)が2014年2月末の段階では200兆円を超えています。これは、少なくとも資金供給自体については、当初の予定通り実施されたことを意味しています。

 問題はそれが実体経済にどの程度を与えたのかということになります。量的緩和策の主な狙いは、世の中にマネーを大量に供給することで、インフレ期待(物価が上昇すると皆が考えること)を起こすことにあります。期待インフレ率が高くなると、実質金利(名目金利から期待インフレ率を引いたもの)が低下することになりますので、企業がお金を借りやすくなり、設備投資などが伸びるというメカニズムです。

 アベノミクスがスタートすると、すぐに株価は上昇し、インフレ期待が高まったように見えましたが、その後、株価の上昇は一服しています。一方で、量的緩和策の実施は大幅な円安をもたらしました。当初、円安になれば日本の製造業は復活すると思われていましたが、製造業の多くはすでに海外に移転しており、円安の効果は限定的でした。むしろ、輸入品の価格が上昇し、貿易赤字が急拡大するという弊害を招いています。

 皮肉な結果ですが、円安の進展による輸入物価の上昇によって、日本の物価は現実に上昇を開始しました。2月の消費者物価指数はコア指数が前年同月比でプラス1.3%となっており、日銀が目標とする2%とまではいきませんでしたが、デフレからは脱却したといってよいでしょう。ただこれは円安による物価上昇であり、持続的な経済成長による自然な物価上昇ではありません。日本の実質GDP成長率はこのところ減速が目立ちますが、これは公共事業というカンフル剤が切れたことが原因です。設備投資はジワジワと増加していますが、日本経済が持続的な成長フェーズに入ったと断言することはできない状況です。

 整理すると、日銀による量的緩和の効果は半々といったところでしょうか。株価を上昇させ、円安を実現したところまでは見事な成果でしたが、これらが実体経済の持続的な回復につながっているとは、現時点では判断できません。市場では日銀による追加緩和がいつになるのかに注目が集まっています。追加緩和の実施が、設備投資の増加や消費の拡大にうまくつながっていくのか、さらに見極める必要があるでしょう。


(大和田 崇/The Capital Tribune Japan編集長)

最終更新:2015/2/11(水) 4:23
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