ここから本文です

混合診療って何を混合するの? 厚労省のホンネって何?

2014/4/4(金) 19:00配信

THE PAGE

 政府の規制改革会議は6月にまとめる答申の中で、混合診療の容認を打ち出す方針を固めました。厚労省はこれに対して安全性の問題から慎重な姿勢を見せているほか、世論の一部からは金持ち優遇になると批判する声も出ています。混合診療の容認は医療にどのような影響をもたらすのでしょうか?

 病院で診療を受ける際には、原則として二つの方法があります。ひとつは公的保険を使って、治療費の大半を保険でカバーする保険診療で、もうひとつは全額を自費で負担する自由診療です。一般的に、病院で受診するという場合には、保険診療のことを指しています。自由診療を行っている医療機関は少なく、大半が富裕層向けの完全予約制クリニックです。ただインプラントに代表されるように、歯科の分野では自由診療が活発に行われており、こういった治療を受けたことがある人は結構いるかもしれません。

 保険診療は費用の大半(一般的な健康保険は70%)を公的保険がカバーしてくれますから安価に済みます。公的保険制度がなければ、多くの人は安心して病院にかかることができなくなってしまいますから、この制度は国民にとって非常に重要なものといえます。しかし、保険を適用する治療は種類が限定されており、最新の治療法や薬などがすぐに適用できないケースがあります。そこで基本的な治療は公的保険で行い、必要に応じて、自費の治療を組み合わせるというのが混合診療です。

 混合診療が認められれば、患者の選択肢は増えるので、患者は自分に合った治療法を選択できることになります。しかし一方で、混合診療が認められてしまうと、最先端の治療法や薬は自由診療でしか使われず、保険診療では古い治療法や薬ばかりという状況になってしまう可能性があります。厚労省は、混合診療について実施そのものには反対していませんが、一定のルールを設定することが大前提とする慎重なスタンスを取っています。

 実は厚労省には、破綻寸前の公的医療保険制度を何とかしたいというホンネがあります。2011年の国民医療費の総額は38兆6000億円に達しています。また2020年には現在より30%も支出が増加する見込みです。年金が約9%の伸びに収まっていることを考えると、医療費の伸びが財政に与える影響は極めて大きいのです。最終的には、一定のルールのもと混合診療を解禁し、経済的に余裕のある人は、できるだけ自由診療に移行して欲しいと考えている可能性があります。

 日本の医療は、サービス業として見た場合、あまり質がよくないといわれています。しかし、それは公的保険が行き渡り、誰でも高度な医療が受けられることの裏返しでもあります。また、日本の医療保険が破綻寸前なのも、高度な治療法を次々に保険適用し、費用を際限なくつぎ込んできた結果でもあります。


 混合診療の問題は、金持ち優遇策かどうかではなく、公的保険の財政問題なのです。たとえ医療の水準が下がっても全員が病院にかかれる制度を維持すべきなのか、医療水準を維持するためには、高い負担もやむを得ないのか、日本人はかなり厳しい選択を迫られているのです。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/1/12(火) 4:40
THE PAGE