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三菱東京UFJ契約社員の組合加入で注目 非正規社員の組合加入は進むのか?

2014/4/10(木) 14:00配信

THE PAGE

 三菱東京UFJ銀行では、今年の春から1万2000人の契約社員が正社員と同じ労働組合に加入できるようになりました。非正規社員にとって何かよいことはあるのでしょうか?

 三菱東京UFJ銀行の労働組合は、これまで正社員だけを組合員としてきましたが、4月からは窓口業務などで働く契約社員約1万2000名について、希望すれば労働組合に加入できるようになりました。非正規社員の組合加入は一部の業界では広がっていますが、大手銀行としては初の試みとなります。

 日本企業はこれまで、非正規社員については、いつでも雇用を解除することができる一種の調整弁のような存在として扱ってきました。これはウラを返せば、正社員の待遇を守るためもあったわけです。今年の春闘でも一部の企業では大幅な賃上げとなりましたが、実際に賃上げの恩恵を受けることができたのは、ほとんどが正社員です。非正規社員の組合加入が進めば、こうした労使交渉の結果は非正規社員にも反映されることになり、非正規社員の待遇改善につながるでしょう。

 ただこうした動きが社会全体に広がり非正規社員の待遇が改善されるのかというとそうでもなさそうです。その理由は、もともと労働組合に加入していない労働者の数が非常に多いからです。

 日本には約5200万人の労働者がいますが、組合に加入している人はわずか1000万人程度です。労働組合の活動がピークだった昭和40年代でも加入率は35%程度にとどまっています。その理由は、労働組合を結成できるような規模の会社は限られており、中小企業では労働組合そのものが存在してないことが多いからです。

 中小企業の場合には、経営者が会社のオーナーを兼ねているところが多く、従業員の意向はあまり経営に反映されません。また日本の場合、ドイツなど他の製造業立国とは異なり、中小企業のほとんどが大企業の系列でいわゆる下請けのビジネスをしています。このため、もともと企業の付加価値が低く、仮に組合を組織したとしても、賃上げをする原資がないというケースがほとんどなのです。非正規社員が組合に加入できる三菱東京UFJ銀行のケースは、超優良の大企業だからこそ実現できる特殊な例といえるでしょう。

 世の中では正社員と非正規社員の格差に焦点が当たっていますが、その背後には、大企業と中小企業の格差という問題も存在しており、両者は相互に関係しています。

 大企業を頂点とする硬直化したヒエラルキー構造は、戦争中の国家総動員体制という特殊な環境で強制的に作り出されたものといわれています(戦争前には現在のような系列、下請けシステムはありませんでした)。労働者の待遇改善については、こういった産業構造の問題も含めて議論していくことが重要でしょう。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2015/4/19(日) 4:26
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