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「水循環基本法」成立 外資の森林買収を防げるか

2014/4/11(金) 15:36配信

THE PAGE

 「水循環基本法」が3月27日の衆議院本会議でにおいて全会一致で可決され、成立しました。この法律は日本国民にとって大切な共有の資源である「水」を守るとともに、水源となる「森林」を守る意味をもっています。

水源である「森林」を守る

 「水」と名付けられた法律なのに、どうして「森林」を守ることに繋がるのでしょう。実は、2000年代後半から、おもに中国資本による日本国内の森林買収の動きが目立つようになり、問題視されていました。水資源が乏しい中国の大都市では、水不足が深刻な問題です。土地ごと買収された森林は水源地を含んでいることが多く、無秩序な森林伐採や水資源の開発が行われるのではないかと懸念されてきたのです。

 林野庁の発表によると、2006年から2012年までの7年間に、外国資本に買収された森林の面積は約801ヘクタールにも及んでいます。最も多いのは北海道で732ヘクタール。そのほか、栃木、群馬、神奈川、長野、兵庫、沖縄など、外国資本に買収されたと思われる森林は全国各地に広がっています。

タテ割り行政や利権が絡み難航した法案化

 ところが今までの日本では、水資源の利用に関する行政は国土交通省や厚生労働省、農林水産省などが縦割りで管理してきたことから、水源地の森林開発や地下水の利用などを有効に規制することが難しいという課題を抱えていました。

 今回成立した法律では、内閣に総理大臣を本部長とする「水循環政策本部」を設置することを定め、基本理念として「水の公共性と適正な利用」や「水の利用に当たっては、健全な水循環が維持されるように配慮」することがうたわれています。

 そもそもこの法案成立を目指して、超党派の国会議員や有識者、市民らによって『水制度改革国民会議』が設立されたのは2008年のことでした。複数の省庁にまたがる「水」問題にはさまざまな利権が絡んでおり、なかなか法案の国会提出や成立にたどり着けなかったという経緯がありました。その後、2010年に改めて超党派の国会議員が集結して『水制度改革議員連盟』を設立。今回の「全会一致」での法案成立に結びつきました。

法律自体はあくまで「基本法」

 とはいえ、「水循環基本法」はあくまでも「水循環に関する施策について、その基本理念を明らかにするとともに、これを総合的かつ一体的に推進」するために、国や地方公共団体、事業者や個人の責務を定めた法案であり、取り立てて水源地の森林買収を禁じるものではありません。

 豊かな水は、豊かな国土や森の恵みです。全会一致で成立したこの法律が、タテ割り行政の弊害を乗り越えて、わたしたち日本人がいつまでもおいしい水を飲める国であり続けるために、しっかり機能して欲しいものですね。

(寄本好則/三軒茶屋ファクトリー)

最終更新:2015/9/15(火) 4:53
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