ここから本文です

アメリカにリニア技術を無償提供、これって損しないの?

2014/4/16(水) 14:00配信

THE PAGE

 今月24日の日米首脳会談において、日本の超伝導リニア新幹線の技術を米国に無償で提供する方向で調整が進められていることが明らかとなりました。大切な技術をタダであげてしまって大丈夫なのでしょうか?

 安倍政権では、鉄道などインフラ輸出を成長戦略の一つとして位置付けており、リニア新幹線の諸外国への売り込みに力を入れる方針です。米国は首都ワシントンとボルチモアの間や、ワシントンとニューヨークの間などに高速鉄道を建設する計画を掲げています。安倍政権としては、これらの路線にリニア新幹線を採用してもらえるよう、積極的に売り込みを図っています。

 安倍首相と米国のケネディ大使は4月12日、山梨県のJR東海山梨リニア実験センターを訪れ、リニア車両に試乗しました。ケネディ大使は「すばらしい乗り心地だった」と評価しています。24日の首脳会談では、超伝導リニア新幹線の米国への無償供与で合意するという筋書きが検討されているようです。

 技術提供を行う場合、通常は「ライセンス料」という形で対価を受け取ります。もし米国の企業が日本から車両やシステムを買わずに、技術の提供だけを受けるという場合には、一両生産するごとに、あるいは全体をセットにして何円という形で日本に対価を支払うことになります。しかし米国側にとっては、すべてを自国で生産しなくても、日本から車両やシステムの一部をそのまま買ってしまった方が早いというケースがあります。このような場合には技術を無償提供してしまい、その代わり、車両やシステムをたくさん買ってもらった方が得ということになります。

 今回の政府の方針については「自国の技術をタダでくれてやるのか」という批判も出ているようです。しかし、最終的にどのような形態でいくらの販売ができるのかによって損得は決まってきますから、一概に損をしていると断言することはできません。

 無償提供される技術の詳細は不明ですが、権利の多くはJR東海とメーカーが保有していると考えられます。JR東海は技術料を得るチャンスを失うことになりますが、米国が車両やシステムを大量に購入してくれれば、これらを製造するメーカーにとっては大きな利益です。そうなると、各メーカーはより安い価格で車両やシステムをJR東海に提供できるようになり、結果的にJR東海も利益を上げることが可能となります。また1兆円ともいわれるプロジェクトの費用の一部は、国際協力銀行が融資することになっており、こうした面での収益もあります。

 このような総合的な売り込み方が得策だったのかについては、超伝導リニア新幹線システムの最終的な販売実績が確定しないと評価することができません。現時点でこれを判断することは極めて難しいでしょう。

 日本は良くも悪くも、アイデアで勝負する国ではなく、コツコツと製品を作って利益を得る国です。アイデア勝負の国であれば、ライセンスの無償供与は大変な損失となりますが、その代わりにたくさんモノを売ることができるのであれば、それはそれで一つの戦略といってよいのではないでしょうか。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/2/4(木) 4:29
THE PAGE