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ニコニコの動画前広告、導入の背景とは

2014/4/18(金) 17:00配信

THE PAGE

 動画サービスであるniconicoを提供する株式会社ドワンゴおよびニワンゴは4月10日、ニコニコ動画において動画再生前に広告を表示すると発表しました。この措置は動画広告に対してどのような影響があるのでしょうか?

 niconicoは日本では最大級の動画配信サービスで、ニコニコ動画を中心にニコニコ生放送やニコニコ静画など各種のサービスを展開しています。このうち再生前広告が適用されるのは、ニコニコ動画サービスです。利用者が動画を見る場合、動画が再生される前に一定の割合で動画広告が表示されます。ただし、広告は5秒後にスキップすることができるほか、有料のプレミアム会員は広告の非表示を選択することが可能です。

 ドワンゴでは、この広告による収益は、同社が行っているクリエイター創作活動支援制度での奨励金の原資に追加されると説明しています。

 こうした広告収入が人気動画を作成したクリエイターに支払われることになればクリエイターの創作意欲は増すことになるでしょう。しかし同社が再生前広告を導入した本当の理由は、プレミアム会員への移行促進にあるといわれています。

 2013年12月末時点でのniconicoの会員数は3758万人で、このうちプレミアム会員数は217万人です。プレミアム会員の会費は月500円ですから、退会者がいなければ年間130億円もの売上げになります。実際、前期(2013年9月期)のniconico関連の売上高は118億円にのぼっています。

 ドワンゴ・グループ全体の売上高は約360億円ですから、プレミアム会員向けのサービスは全体の3分の1を占める主力事業といってよいでしょう。確かに、再生前広告の導入によって広告収入の増大が見込めますが、これを期にプレミアム会員に移行する利用者も多いと考えられます。最終的にはプレミアム会員の売上高を伸ばし、全社的な業績を拡大しようと考えているわけです。

 ネット上の動画広告は今のところ、全体の2%程度といわれています。日本のネット広告市場は約7000億円ですから、ざっと140億円程度ということになり、規模としてはまだまだです。しかし動画は視聴者へのインパクトが大きいことから、広告業界では動画広告の動向には高い関心を寄せています。ネット上の動画配信サービスがさらに普及してくれば、動画広告の規模が一気に拡大すると予想する関係者もいます。

 今回のドワンゴの取り組みは、あくまで有料会員獲得が前提となっているものですが、国内最大級の動画配信サイトが再生前広告の導入に踏み切ったことは事実です。同社の広告収入が大きく増えるのか、それとも有料会員へのシフトがさらに進むのか、ネット動画広告のひとつの試金石になるかもしれません。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2015/4/15(水) 4:13
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