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1軍昇格を待つ球界のレジェンド 山本昌の巧の技

2014/4/24(木) 23:20配信

THE PAGE

30キロ差の究極の緩急

 阪神の平田勝男2軍監督が、関心していた。「今日は、山本昌をメッタ打ちにしようと思っていたんだけど、逆に1軍レベルの上手さと違いを見せつけられた。遅いボールを見せられてインコースへ、ドン。配球を読んでは逆へ。うちの若い打者は、それに対応できなかった。あれに対応できないと1軍では、結果を出せないということなんだけど……情けない……」

 プロ31年目、48歳の中日・山本昌が、4月24日に甲子園で行われたウエスタンリーグの対阪神戦で6回を投げて4安打、3奪三振の無失点。ファームながら31年目のシーズンで“1勝”を飾った。敵将の平田監督をあきれさせた場面は、4回の打者、伊藤隼太の打席。96キロのカーブの後に、ストレートが127キロ。最後は103キロのチェンジアップでタイミングを崩されバットは空を切った。約30キロ差の究極の緩急である。

 しかも、緩急の「急」にはインサイドを使うから、なおさら、この日、最速131キロしか記録できなかったストレートでも、バッターは体感として速く感じる。山本昌がスピードガン表示よりもボールの回転数をアップすることにこだわっているストレートだ。「山本昌は、ボールが速くなればなるほど逆に打ちやすくなる」というスコアラーがいるほどだから、128キロから131キロの間の速度にあるストレートは、逆に打ち損じを誘うためには最も効果的なのかもしれない。

 四球も含め、1回から6回まで、毎回、ランナーを出しながらも、その究極の緩急を使って、まるでコンピューターゲームのように凡打を重ねさせた。狙っているボール付近でボールを動かす、もしくは、裏を読んだボール。しかも、常にストライクを先行させていくから、テンポもよく、考える時間を与えない。6回を投げ終えても球数は86球と少なかった。伝家の宝刀のスクリューは、打者が一回りするまでは温存して置く念の入れよう。今季から取り組んでいるカット、ツーシームも、「それほど使わなかった」(山本)と言うが、抜群の安定感があった。

 ここまでファームで3戦連続でKOされていた。17日の広島戦では、制球が定まらず5失点と炎上した。48歳の球界のレジェンドは、浮き彫りになっていた課題を見事に修正してきた。

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最終更新:2015/11/13(金) 4:33
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