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日本の北朝鮮に対する制裁の内容は? 効果はあったの?

2014/4/26(土) 16:11配信

THE PAGE

 4月14日、月内に北朝鮮との間で、外務省局長級での公式協議が開かれる見通しが明らかになりました。北朝鮮は拉致被害者の再調査と引き換えに、日本に制裁の緩和を求めています。北朝鮮に対する日本の制裁について、改めて考えます。

日本独自の制裁とは

 北朝鮮への制裁には、国連決議などによる国際的なものと、各国独自のものがあります。このうち国際的な制裁は、核・ミサイルに関する物品の輸出入の禁止、金融取引や人的移動の規制などが主なものです。

 これ以外にも、日本は独自の制裁を行ってきました。2006年10月には北朝鮮向け輸出が、2009年6月には北朝鮮からの輸入が、それぞれ全面的に禁止。2005年段階での対北朝鮮貿易額は、輸入が145億円(マツタケ、ホタテなど)、輸出が69億円(自動車など)でしたが、現在はいずれもゼロ(第三国を経由するものを除く)。

 また、2006年10月には北朝鮮国籍者の入国が原則的に禁止されたほか、2010年7月には北朝鮮居住者などに現金を持ち出す場合の届け出下限額が30万円から10万円に引き下げられるなど、ヒト、モノ、カネの移動が厳しく制限されています。北朝鮮に対する制裁で、日本は世界一厳しいといえます。

制裁の効果はあったのか

 しかし、これらの制裁に直接的な効果があったかは、疑問です。

 社会主義体制の北朝鮮は、もともと貿易への依存度が低く、さらに制裁の影響を直接受けやすい民間企業もほとんどありません。さらに、国民の不満が政府に抑え込まれていることも、北朝鮮に方向転換させる制裁の効果を低くしてきました。

 なにより、北朝鮮が他から物資を調達できる場合、制裁の効果はあがりにくくなります。北朝鮮は燃料などの物資のほとんどを中国から輸入しており、2011年の貿易額に占める対中依存度は89.1パーセントにのぼります(JETRO)。

北朝鮮の変化の背景は

 その北朝鮮が日朝協議の再開に応じて、3月末に北京で1年4ヵ月ぶりに外務省局長級の公式会合が開催。この席で日本は「特定失踪者」470人などの再調査を要求。一方、北朝鮮は「制裁の解除は、拉致被害者の再調査を始めるに値する」と応じたと報道されています。

「拉致問題は解決済み」というスタンスに変更はないものの、「制裁解除」と引き換えに「再調査」に応じる姿勢に転じたことは、これまでにない変化です。この背景としては、中国との関係悪化があげられます。

 2013年12月、金正雲第一書記は叔父の張成沢・国防副委員長とその一派を粛清。これは中国とのパイプ役となり、投資や貿易に関する利権を握っていた張成沢一派が、権力闘争の果てに排除されたものとみられます。しかし、この一件で中国は態度を硬化させました。
中国との関係悪化は、北朝鮮の経済にとって死活的。「抜け道」中国との関係が怪しくなりつつあることが、日本の制裁を解除することの意味を、これまでになく大きくしたと考えられます。

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最終更新:2016/2/8(月) 4:22
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