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<ボクシング>「ミドル級からヘビー級へ」石田の挑戦は無謀だったのか

2014/5/1(木) 1:34配信

THE PAGE

体重増加の影響で終盤にスタミナ切れ

<ボクシングヘビー級8回戦 4月30日・後楽園ホール>
 日本ヘビー級王者、藤本京太郎(角海老) 判定3-0 元WBA世界Sウエルター暫定王者、石田順裕(グリーンツダ)

 試合終了のゴングを聞くと石田は両手を突き上げた。
「勝ったと思った」
対照的に京太郎はうつむき加減でコーナーに下がった。
「わからなかった……正直、負けたと思っていた」
 京太郎が阿部トレーナーの表情を伺うと不安そう顔をしていたという。 

 56年ぶりに復活した日本ヘビー級王者と、ラスベガスのリングで戦ってきた38歳のレジェンドボクサーの両者は、福地レフェリーに腕を持たれたまま判定結果を待つ。リングアナはジャッジペーパーから先に読み上げた。

77-76。2者が77-75。以上、ユナイマスデシジョンを持って、勝者、藤本京太郎!

 ホームの大声援と、大阪から駆けつけた石田応援団の罵声が交錯した。ボクシング好きの詩人は「おかしい。こんな採点はあり得ない」と叫んでいた。手数か、効果打か、というジャッジの基準を巡っての議論は(ルールでは、効果打を優先とされているが)永遠に結論の出ないものではある。この日のジャッジは、結果的に京太郎の手数を支持した。ちなみに筆者は1ポイント差で石田だったが……。

 リングに上がった時点での体重は、石田がヘビーのリミットである90.7キロを少し上回った程度。対して京太郎は、105.5キロ。体重差は、約14キロあったが、石田に上背があるせいか、そう体格差を感じさせず、スピードと、至近距離のさばきなど両者の実力差は1ラウンドから明らかだった。ジャブをヒットさせ、終了間際には、飛びつくようなトリッキーな左フックを当てた。石田が京太郎のすべてを見切ったのがよくわかった。
「見切れたけれど、ふと気を抜く悪い癖も出てパンチをもらった」

 1、2ラウンドで、余裕が出たのか、石田は、3ラウンドからは、KOを狙いに行った。京太郎が、右を打ち込むと同時に右を合わせる。それに京太郎がおじけづくと、今度は、打ち終わりにタイミングを合わせ強いブローを狙う。ワンツーが当たるとヘビー級王者がぐらついた。だが、京太郎も、その石田の動きを察知できないほど鈍くはない。冷静に相手コーナー陣営が、石田に与える指示の声を聴き取りながら対策を練った。
「相手のセコンドの声が参考になった。おおぶりになってはいけないと、考えていた。そのぶん、手打ちになったけれど……」

 ミドル級では、到底使えないような2種類のガードを駆使しながら石田は、チャンスを待ったが、終盤に入ると、ガタっと、ペースが落ちる。
「体が動かなかった。急に体重を増やしたことの影響だろうと思う」

 手数が減った。石田は、もう一度、ジャブやボディから自分でボクシングを組み立てることはしなかった。体に錘をつけて戦っているようなものだった。体が重く、スタミナも切れ、思うように肉体をコントロールできなかったのである。72.5キロがリミットのミドル級で戦ってきたボクサーが、短期間に無茶な増量をして4階級上へチャレンジすることは、やはり無謀だったのか。

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最終更新:2016/1/31(日) 4:55
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