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赤字法人への課税強化を検討、外形標準課税って何?

2014/5/1(木) 10:00配信

THE PAGE

 政府内部で赤字法人への課税について検討が始まりました。外形標準課税の枠を拡大するというものなのですが、これはどういうことなのでしょうか?

 現在、安倍政権では法人税の実効税率の引き下げを検討しています。しかし現在の税制のままで実効税率を引き下げてしまうと、税収が一気に減ってしまいます。財政が非常に厳しい状況ですから、政府としては税収の減少は避けたいところです。そこで注目を集めているのが課税ベースの拡大です。法人課税には実は多くの優遇措置があり、実際には税金をあまり支払っていない企業があります(租税特別措置)。こうした優遇税制をなくせば、税率を下げても、それほど税収は減少しません。

 今回、検討されているのは、赤字法人に対する課税を広げるというものですが、この制度も同じ効果を狙っています。赤字法人からも税金を取れば、税率を下げても全体の税収はそれほど減少しないというわけです。

 現在、企業に対しては、法人税、住民税、事業税などが課されています。このうち法人税は国税で、住民税と事業税は地方税です。法人税は基本的に利益に対して課税されますが、事業税の一部は外形標準課税といって、利益の有無にかかわらず、会社の規模(従業員の数、資本金、事業所のスペースなど)に税金をかけるという方式が採用されています。この対象枠を広げれば、赤字法人からもさらに税金が取れることになります。

 日本には会社が約250万社あるといわれていますが、このうち7割以上が赤字決算となっており、法人税を支払っていません。本当に利益が出ないので赤字になっている中小零細企業も多いのですが、中には税金を払うくらいなら赤字にした方がよいということで、経費をたくさん使ってあえて赤字にしているところもあります。大手企業の中には、巨額の損失を繰り越すことで、実質的に税金を支払っていないというところもありますし、さらにいえば、グローバルに事業を展開する外国企業の中には、日本法人をあえて赤字にして、税金の安い地域で納税するという操作をしているところもあると考えられます。

 現在は資本金1億円超が対象となっている外形標準課税の枠を拡大すれば、赤字でも税金を支払う企業が増えるため、税率を下げても、税金の絶対額を減らさずに済むわけです。

 政府税制調査会での議論が始まったばかりですから、この制度が実際に導入されるのかはまだ分かりません。外形標準課税は賃金に対して課税するという意味もありますから、企業側の抵抗は大きいと考えられます。ただ、赤字法人への課税を含め、課税対象を拡大していくことは、やはり避けては通れない課題のようです。


(大和田 崇/The Capital Tribune Japan編集長)

最終更新:2016/1/28(木) 4:56
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